きょう夜9時からテレビ朝日系列でフランス映画『トランスポーター』(2002年)が放送されます。
学芸員Kはこの映画に出ている女優、スー・チーに香港で遭遇したことがあります。
96年7月末から8月はじめまで10日間香港へ行ったときのことです。よく晴れた蒸し暑いある日、
尖沙咀のプラネタリウムの前で映画のロケをやっているのに出合いました。
現場に置いてあったカチンコを見たら、「製片名」のところに 『色情男女』 と書かれていました。
ロケ現場にはあのレスリー・チャンがいました。
そのレスリーにケンカ腰でからんでいる役の女性がいました。
それが後で知るスー・チーでした。
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学芸員Kはそのとき、彼女のことを知りませんでした。
彼女はすでに台湾でセクシー系タレントとして有名だったらしく、
さらに香港の「三級片」(「アダルト向け映画」。しかし日本のポルノ映画のようなものではなく
「性描写を含む年齢制限付きの映画」という感じ。かなり一般的な層が観る)でもデビュー
していたらしい。しかし私はそんなことは知らず、
したがって当然彼女の名前も知りませんでした。
日本でいうところの深夜番組のテレビタレントみたいな感じに見えました。
カメラの前の彼女をみたとき、学芸員Kはこの女性が
大スターの主役レスリーにからむ「女性A」程度の端役だと思ってました。
しかし、下品な言い方ですがそのルックスはいわゆる「男好きのする顔」で、
周囲に何か艶っぽい雰囲気とフェロモンを振りまいているなと感じました。
男の眼で見ると、無名でもやはり何か「感じるもの」があったというわけです。
この映画で、彼女は香港電影金像奨最優秀助演女優賞と最優秀新人賞を受賞しました。
その後の彼女の活躍は皆様ご存じのとおりです。
映画『色情男女』は三級片を撮る監督の苦悩を描いたお話です。
この映画の中でレスリーの役は「『色情男女』という三級片を撮る監督」となっています。
スー・チーはその『色情男女』に出る三級片女優の役です。
『色情男女』というタイトルは、映画の中の映画、つまり劇中映画の題名でもあるわけです。
のちに映画館でこの映画を観て、初めてあのときのロケで撮影されたシーンの内容がわかった
のですが、学芸員Kが遭遇した『色情男女』のそのロケで撮影された内容とは、
「三級片監督レスリーが、尖沙咀の人が行き交う往来で映画『色情男女』の濡れ場シーンの
ゲリラロケを行う」というものでした。
その場面には 「いきなり往来で始まった三級片のゲリラロケを騒いで見る野次馬」 が
必要だったらしく、スタッフは我々野次馬を現場から排除するのではなく、
逆に積極的に利用しました。
結果、映画『色情男女』で、野次馬のひとりだった学芸員Kは2箇所ほどで画面に見切れて、
一瞬ですが「出演」しています。
つまり、学芸員Kはスー・チーと共演していたのです!(笑)
いずれも本人が凝視して見て、「あ、自分だ」となんとか確認できる、という程度の
一瞬だけの出演ですけど。
尖沙咀のペニンシュラホテル前の道路を挟んで向かいの電話ボックス。
そこで突然チョイ・ガムゴンとスー・チーがからみはじめた三級片『色情男女』のゲリラ撮影。
驚いて大騒ぎするたくさんの野次馬に混じってニヤついて見物しているひとりの男──。
これが学芸員Kの役どころです(爆)。
学芸員Kはニヤニヤ笑ってるんです……。すごくマッチしてる。このシーンに。
編集の妙というか、その場の雰囲気の偶然の一致というか。
実際には野次馬の前はこのときカメラとスタッフだけだったと思うのですが。
この映画を初めて観たときは驚きました。スー・チーはチョイ・ガムゴンに服をはがされて
胸をあらわにするのです。それを見物している野次馬はヤンヤの喝さいを浴びせます(そして
学芸員Kの演技賞ものの笑顔(爆))。でも、実際のロケ現場では、
当然我々「本当の野次馬」が見ている前では胸をはだける部分の撮影は行われませんでした。
こんな場面があるのを映画を観てはじめて知って驚いたわけです。
いまさっき、香港で買った『色情男女』のDVDで見直したら、もう1箇所、学芸員Kが後ろのほうで
ビデオカメラを回してるのが写ってるシーンも発見しました。ということで3箇所で「出演」。
このシーンを流れで観たら、チョイ・ガムゴンとスー・チーのキワドイからみを、
野次馬の学芸員Kがビデオカメラで撮影していることになるじゃないかっ!(笑)
いまさら本人が発見したくらいだから、出てるのは小さく一瞬だけど。
このシークエンスは「劇中映画『色情男女』の濡れ場シーンのゲリラロケ」という設定でしたが、
学芸員Kが遭遇したこのロケ自体がゲリラだったのではないかな。
香港映画って、今は違うかもしれないけど、10年前くらいだとどの映画も
多分警察とか役所などへの撮影許可の申請なんかやってないと思います。
昔は、黒社会の大乱闘シーンを街なかでゲリラロケで撮って、それをホンモノとカン違いして
逃げまどう群集をきっちりカメラに収めて、迫力のシーンが完成!なんていう話を
聞いたことがあるし。
このロケで学芸員Kは、いつも旅行の時に肌身離さず携帯しているミニノートに
レスリー・チャンと監督のイー・トンシンのサインをもらいましたが
スー・チーのサインはもらいませんでした。
名前も知らない、芸能人かどうかもわからない人から、ふつう、サインはもらいませんよね。
だから…………お、惜しいことしたッ!!!!!