芸術選奨で文科大臣賞を受けた洋画家による盗作がワイドショーを賑わせています。
盗作だという匿名の投書により発覚したらしいですね。
さて、この匿名の投書の主、彼あるいは彼女は、この洋画家の作品がイタリアのスギ氏という
画家の絵とあまりに酷似していることを最初発見したとき、きっと「げげーッ!?」と相当驚いたに
違いありません。
学芸員Kも似たような経験があります(ホントか?)。
それは、ブルース・リー主演映画、『ドラゴンへの道』(1972年 原題「猛龍過江」)で。
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昔むかし(大昔!)、アメリカMGMの『ベン・ハー』や『2001年宇宙の旅』など
大作映画24作品のサントラ曲を集めた2枚組LPレコード
「パーフェクト MGM超豪華オリジナル・サン・トラ集」というのを買ってきて勉強部屋で
聞いてたら、そのうちの1曲が、『ドラゴンへの道』の主題曲と旋律がそっくり。
偶然の一致とはいえないほど酷似しているのです。
映画が作られたのはMGMのその映画のほうがはるかに昔なので、
「やった」とすれば『ドラゴンへの道』のほうになります。
『ドラゴンへの道』の作曲は香港映画の大御所、ジョセフ・クー(顧嘉輝)。
「音楽/顧嘉輝 Music/Joseph Koo」の名が、まさにこの疑惑の主題曲が流れる
『ドラゴンへの道』のオープニングタイトルでクレジットされています。(写真)
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MGMのその映画はフルートによる静かな曲で、一方『ドラゴンへの道』は最初に銅鑼が
鳴るような勇ましい曲なので、聞き流したら気が付きませんが、音符に書いたら、
旋律は合致しているはずです。
ブルース・リー ファンの純粋無垢なる一少年にとって、初めてこのMGMの曲を聴いて
その酷似を発見したときの衝撃はすごく大きかった。まさに「げげーッ!?」です。
その少年はどこにも匿名の投書はしなかったけど。
『ドラゴンへの道』の主題曲と似ていたのは、このMGM映画サントラ集に入っている24作の中で
比較的マイナーな作品だったのは覚えているのですが、そのどれかは忘れてしまいここでは
タイトルを書けません。そのLPレコードは今でも大切にして手元にありますが、
アナログプレーヤーが壊れていて聴けないのです。
同じことを話題にしているサイトなりブログがないかGoogleで検索してみましたが、
ヒットしません。でも、学芸員Kは、多分『ドラゴンへの道』が盗作を「やっちまったんだろうなー」と
個人的には思っております。だって酷似してますから。
そもそも、1970年代までの香港映画は、音楽がまともに作られた作品は少なく、
『ドラゴンへの道』のように新たに「作曲」やアレンジするのはまだマシ(?)で、
ハリウッド映画のサウンドトラック(おそらく音源はLPレコード)から直接借用して
使ってたりする映画がバンバンあります。また、1950~60年代の現代劇映画の一部などは、
延々とクラシック音楽がバックに流れていたりします。
それを言えば、ハリウッド超大作の『2001年宇宙の旅』だって流れる曲は、
クラシックの「ツァラトゥストラはかく語りき」とか「美しく青きドナウ」ですが、
これらは当然、お金や時間がないという理由ではないはずです。
そういえば、書いてて思い出しましたが、これも昔、テレビで日本映画『大魔神』を見ていたら、
あるシーンでブルース・リーの『ドラゴン危機一髪』のサントラ盤で聴きなれた音楽が入っていて、
子供だった学芸員Kは 「大魔神が危機一発から盗んだんだ!」 と思いましたが、
制作年からみてその逆だったんですね(笑)。
同じく名作『ドラゴン怒りの鉄拳』も、映画『小さな冒険者』のサウンドトラックを借用している
らしいです。
何でも香港に結びつける当ブログ、今回は芸術選奨で文科大臣賞を受けた洋画家による
盗作騒動から強引に香港関連の話にもっていきました(^_^;)。