きのう、自宅近所のシネコンに、カミさんと息子の3人で「ゴースト・イン・ザ・シェル」のIMAX 3D版を見に行った。

上の画像は日本版ポスター。北野武が大きく扱われている。

香港ファンならこの映画を見るべし。

以下、ネタバレあり。(ストーリーのネタバレではなくて、「映像」や「舞台」のネタバレに注意ということ)

知ってる人は知ってたのだろうが、私はうかつにもまったく知らなかった……のだが、何も知らずに素の状態でこの映画を見たら驚きとともにすごく面白く鑑賞できた。なので、素の状態でこの映画を見たい人はこれ以下の記事は読まない方がいいかも。

 

 

 

 

 

 

私はテレビで流れる「ゴースト・イン・ザ・シェル」のCMを見て「なんか背景に香港の雑居ビルみたいなものがチラチラ出てくるな」と思っていた。

https://www.youtube.com/watch?v=s1UC2-43Mpw

 

 

以下、ネタバレあります。

 

 

 

 

 

 

 

 

きのう映画を見て驚いた。

香港の雑居ビルがチラチラどころではない。

この映画は、その舞台である「近未来都市」を、現在の香港の街そのものを使って描いているのだ。

物語中、主人公らが近未来都市を歩いたりクルマで走ったりするシーンが出てくる。

これらのシーンは香港の街中でロケ撮影し、その撮影された街中の風景の一部をCGでデコレーションして「近未来都市」に仕立てているのだ。

物語後半、ボートに乗っている主人公らの背景の高層ビル群はまさに香港島。そのビル群もCGで盛って近未来都市にしている。

香港ファンには面白すぎる絵柄!!!!

 

一方、難点だと感じた点もある。

「荒巻」を演じる北野武の日本語のセリフが、意図してなのだろうがとことん棒読みだ。

その演技がいくら味があると言われたとしても、こんな棒読みの演技、あっていいのか?と私は鑑賞の集中力が少し削がれた。この棒読みは他国の観客にはOKでも日本語ネイティブの観客にはちょっと厳しいんじゃないかと思った。

が、それを差し引いても映画自体はすごく面白かった。

この映画の原作の「攻殻機動隊」の漫画やアニメのファンの中には、このハリウッド実写版に批判的な人もいるらしく、そういうことはよくあることだから理解できるが、「攻殻機動隊」については監督の名前以外は知らない私にとって、今回のハリウッド実写版の「ゴースト・イン・ザ・シェル」は本当に面白かった。

この作品には、2019年の近未来を描いた「ブレードランナー」(1982年 米/香港合作)や、日本のアニメ映画「AKIRA」(1988年制作)へのオマージュも感じた。

https://www.youtube.com/watch?v=zIgFpdix8PI

予告編冒頭の「2019年 オリンピックを翌年に控えたネオ東京」には驚愕。この映画は29年前の1988年の制作なのだ(ちなみに1988年はソウルオリンピックが開催)。実際の「2020東京五輪」の開催が決まったのは2013年。偶然の一致とはいえ、80年代に創られた原作の設定が的中してしまった。

このアニメの圧巻は、物語冒頭の、2019年の新宿の街を暴走するバイクのシーン。このアニメが作られた1988年当時は当然いまのようなデジタル彩色ではなく、セル画に一枚一枚、筆で着色してそれをアナログカメラで撮影してのアニメーションだ。

私は公開当時この映画を新宿の映画館で見て、バイクが疾走するときのテールランプの残光の表現に鳥肌が立ったことを、いま思い出した。

これはそのバイクのシーン。(英語吹き替え版。この投稿動画は、60fps=毎秒60フレームに変更されていて、よりクリアな動きとなっている)。

2017年のいま見てもこのアニメの出来の良さにはシビれてしまう。劇判に採用した芸能山城組の音楽もすごい。

「ゴースト・イン・ザ・シェル」の近未来都市のビルのあちこちに立つホログラフが、この「AKIRA」のバイクシーンに出てくる近未来の東京ですで描かれている。

ただ、「AKIRA」は東京オリンピックの開催は期せずして言い当ててしまったが、日本のバイク文化が衰退することは想定外だったか。1980年代当時は当たり前だった、中型・大型バイクが街を走る姿を、すでに2017年のいま、ほとんど見かけなくなった。若者がバイクに乗らなくなって久しい。

 

ところで「ブレードランナー」や「AKIRA」がともに描いたのが「2019年」。

もう「2019年」は近未来じゃない。再来年だ。

 

「AKIRA」関連記事 https://www.anikore.jp/features/akira/

 

旧ソ連の映画で「惑星ソラリス」(1972年)というのがある。

近未来を描いたこの映画、クルマにカメラを積んで東京の首都高速を走らせ、フロントウインドウ越しに前方を撮影し、当時はCGなんかないからそれをそのまま「近未来都市」の風景としていた。

その場面はYouTubeにアップされている。以前アップされた映像は削除されていたのだが、また誰かがアップしていた。

 

話を「ゴースト・イン・ザ・シェル」に戻す。

物語が終わってエンディングのスタッフロールを見ていたら、撮影チームのクレジットで「NEW ZEALAND UNIT」と出てきた。

どの場面がニュージーランドで撮影したものなのかと不思議に思っていた。

「広州とほほ日記」の記事を見て判明した。

ニュージーランドはロケじゃなくてスタジオだった。

クライマックスの戦いの場面で、香港在住者や香港ファンにはおなじみの、銅鑼灣の「丸い歩道橋」が出てくる(「丸い歩道橋」とは、これ)。

「広州とほほ日記」の記事によると、この丸い歩道橋は、ニュージーランドのスタジオで実物大のセットを組んだものだというのだ。

わたしはてっきりこの歩道橋の破壊シーンはCGによるものだと思っていた。

なんと実物大のセットをぶっ壊していたのか!

 

「ゴースト・イン・ザ・シェル」公式サイト http://ghostshell.jp/

「ゴースト・イン・ザ・シェル」ウィキペディア こちら

ウィキペディア 中文 こちら

 

ちなみに、もともとの日本のアニメ版も香港色満載だったのか。知らなかった。

 

この記事、追記(あるいは別記事でアップ)の予定。(録りためた「ひよっこ」を見たいのでひとまず記事をアップしておきます)