ゴールデンハーベスト。
嗚呼! この名前を口にしたとき唇に感じる快い響きよ。
ゴールデンハーベストのスタジオがなくなって同社が映画制作から撤退してもなお、私にとってゴールデンハーベストは香港映画そのものだ。
ウィキペディアを見たら「映画制作に再参入」とあるが、社名も変わったし最近の香港映画のことは私はほんとんど知らない。
そんな私は、たまに「ゴールデンハーベスト」や「GOLDEN HARVEST」「嘉禾」などのキーワードでググってみる。
そうしたら先日、「ヤフオク!」に「ゴールデンハーベスト クッション」なるものが出品されているのを発見した。
こちら。
サイズは30×50cm。「海外限定 激レア」とある。海外だけで売られていたものという意味なのか、海外の素材をソースにしたという意味なのか、私は知らない。
絵柄は、ゴールデンハーベストの映画の冒頭に出てくる、おなじみのオープニングロゴをあしらったもの。
これをヤフオクで見つけたとき、私は「へえ」と思ったが、すぐに「あっ!」となった。
ひょっとしてこのクッションの絵柄、以前私が作ったオープニングロゴのレプリカを使っているんじゃないか?
ゴールデンハーベストのオープニングロゴのレプリカ。
私が、画像編集ソフト「Photoshop Elements」で作ってブログにアップした画像があるのだ。
クッションは、この画像を流用したのではないか。
私は今から10年ほど前、ゴールデンハーベストのTシャツを自分が着るために作ったことがある。
2枚作った。
プリンタでゴールデンハーベストのオープニングロゴをアイロンプリント用のフィルムに印刷し、それをユニクロで買った無地のTシャツにプリントしたのだ。
そのときの記事はこちら
「ユニクロ&ゴールデンハーベストの「コラボTシャツ」を作ってみました」(2006年7月17日)
http://kengshow.com/2006/07/17/post_15/
「ユニクロとゴールデンハーベストのコラボTシャツ 第2号製作と「『集團』の文字萌え」について」(2006年10月24日)
http://kengshow.com/2006/10/24/post_24/
このときTシャツにプリントした絵柄は、DVDやYouTubeの静止画像をコピペしたものではなく、私が画像編集ソフト「Photoshop Elements」でイチから作ったものだ。
「G」をかたどったおなじみの四角いシンボルマークはまず4枚の長方形の黄色いパーツを作って、それを組み合わせた。
「嘉禾」の文字は、映画館のチケットの「嘉禾」のロゴを借用した。
かつて香港のMTR佐敦駅近くに、ゴールデンハーベスト直営の大映画館「嘉禾戲院(ゴールデンハーベストシアター)」があった。
その映画館のチケットに印刷されていた「嘉禾」の文字を、キヤノンのスキャナーでスキャンしたのだ。
これがそのチケット。当時ここの映画館で映画を見るたびにたまっていき、なんとなく捨てがたく保管していおいた半券。
このチケットの「嘉禾」のところをスキャンして拡大画像にして、文字の周りを透明にし、輪郭を調整した上で赤色にした。
そして「A GOLDEN HARVEST PRESENTATION」は、オリジナルのオープニングロゴを見てそれに似た書体を選んでテキストを打った。
こうして作ったオープニングロゴのレプリカは、自分でもかなり気に入っていた。映画の動画を静止画にしたものとは違ってクッキリとしている。
そこで、Tシャツ用に作ったデザインとは別に、自分のホームページやブログのヘッダー画像などに使おうと、「G」マークや「嘉禾」の大きさの比率や配置をいろいろ変えて作り直した。
そのうちのひとつがが、これ。
この画像は、8年前に当ブログの記事にもアップした。
クッションはこの画像を流用したんではないか。
アップした画像は、こちらの記事の一番下。
「嘉禾戲院(ゴールデンハーベストシアター)のチケット」(2010年5月22日付)
http://kengshow.com/2010/05/22/post_434/
このオープニングロゴは、映画で流れるオリジナルとは異なり、私がカッコイイと思う感じに勝手に四角のマークや「嘉禾」、そして「A GOLDEN~」の各パーツの大きさの比率を変えて、センターに寄せて配置し直してある。
大きなスクリーンに映し出されるとやっぱりオリジナルの方がいいけど、Tシャツもそうだが小さな絵柄なら各パーツは大きい方がいいと私は思ったから。
ちなみに映画のスクリーンに映し出されるオープニングロゴの正真正銘のオリジナルは、これ。
このオリジナルのオープニングロゴは、意図してなのかどうなのか、右の「嘉」が、左の「禾」に対して下にズレた感じになっている。
これは私が映画館のスクリーンで初めてこのオープニングロゴに遭遇したときから、ずっと気になっていたものだ。
もう、ずっと思っていた。「なんで『嘉』の位置が下にずり下がっているのだ???」
映画を見るたびに気になって気になって仕方がなかった。
香港のモノ作りの詰めの甘さを思ったりもした。
そこで私が作ったレプリカでは「嘉」の文字を「禾」と同じ高さにしてある。
Googleで「ゴールデンハーベスト」で検索すると、今のところ私の作ったこの画像が一番最初に表示される。赤丸の2つが私の作った画像。
Google検索結果で一番最初に表示されるこの画像をクリックしてみたら、全然知らないサイト。そこに私の作ったこの画像が貼られている。画像の下に「出典 blogs.c.yimg.jp」と私の知らないクレジットが入っている。しかし、元は私の作った画像なのだ。
話をクッションに戻す。
この私の作った画像が巡り巡ってクッションに使われたんじゃないか、と私は思ったのだ。
ここで、ヤフオクに出品されているクッションと、私が作ったレプリカ、そして映画の冒頭に出てくる本物のオープニングロゴを並べて比べてみる(画像をクリックすると拡大して見られます)。
① クッションと私のレプリカは、ともに「禾」の文字が本物とは違って1画目と3画目が離れている。
今回、あらためてオリジナルのオープニングを見て知ったのだが、私がスキャンしたチケットの「嘉禾」のロゴは、映画で流れるオリジナルのオープニングロゴと同じものではなかったのだ。
そして、以下、クッションと私のレプリカは、
②「A」とその下の「H」の位置が同じ。
③「嘉」と「T」の位置が同じ。
④ 本物は「TIO」の文字の字間がきちんと詰まっているが、クッションと私のレプリカは字間があいてしまっている。
レプリカの字間があいているのは、作成時に気になったまま修正せずにしておいたものだが、クッションの方も字間があいている。
ほかにも、「G」のマークのすき間の幅がオリジナルに比べて広いことや、「嘉」の文字の「士」「口」の形が同じなど、クッションと私のレプリカには共通点がいくつもある。
そして、これらとは別に、もうひとつ決定的な箇所がある。それが赤丸の⑤と⑥だ。
実は、レプリカ作成時の私のミスで「GOLDEN HARVEST」と「PRESENTATION」はフォント(書体)が異なるのだ(ちなみに「PRESENTATION」の方はなぜかテキストをアウトライン化(画像化)してしまったので何のフォントか今となっては確認できないのだが、「GOLDEN HARVEST」のテキストにカーソルを置いてフォントを確認してみたら「HG創英角ゴシックUB ウルトラボールド」となっていた)。
2つの書体は似ているのでちょっと見には違いがわかりにくいが、「S」を見ると形が若干ちがうことがわかる。
⑤と⑥の「S」を拡大して並べるとわかりやすい。
⑤に比べて⑥の「S」はやや細身だ。内側の黒い部分が⑥は大きい。
クッションの方も、私がミスしたのと同じく⑥の「S」が痩せた感じとなっている。
ということで、以上のことから、このクッションの絵柄の出どころは、私が8年前に当ブログにアップした、私の作ったレプリカだと思う。
ただ少し不思議なのは、私がこのレプリカの画像をアップしたのは、前述のブログ記事「嘉禾戲院(ゴールデンハーベストシアター)のチケット」だけだと思うのだが、その画像データは幅が520ピクセルと小さいのだ。
こんな小さい画像を幅50cmのクッションカバーに合わせて拡大してプリントしたら、すごく絵柄が粗くなるんじゃないかと思うのだが。現物を見てないからなんとも言えない。
と、以上のように、なんか細かいことを執拗に指摘してしまったが、別にクッションを作った人を非難するつもりは全くない。
そもそも、私の作った画像自体が、チケットをスキャンして本家ゴールデンハーベストのものを勝手に作り直したレプリカなのだ。
以前、私の撮った香港の映画館の画像をネットにアップしたところ(こちら)、その画像が拡散して地元香港のあちこちの掲示板やブログなどでアップされ、巡り巡ってついにはそのひとつが香港の新聞の「蘋果日報」や「文匯報」などに無断で使われる事態となった(こちら)。
そんなこともあったから、私は、ネットに画像を上げたら、その画像はパブリックなものになってしまうんだと認識している。だから、今回のことも全然オッケーだ。
ただ単純に、ヤフオクに出品されているの発見して、「ほう!」と面白かったというだけなのだ。
この「ゴールデンハーベスト クッション」は継続的に出品されているもよう。
「ヤフオク!」の「ゴールデンハーベスト クッション」
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