〈「Heartbeat of the City 城市脈搏」。8月30日午後、香港到着後ホテルの部屋にたどり着き、まずは、と彌敦道を見下ろすと、いきなり目に飛び込んできたのがこれ。九龍バスのセンスの良さにシビれる。当然だが路上からはバスの屋根は見えない。隠しスパイス。こんなときが香港はカッコイイと心底思う瞬間。(写真は9月10日撮影)〉

 

8月30日のつづき。

誠品書店・尖沙咀店で買った「自家茶坊」をホテルに置きにホテルに戻る。

昼間やらなかった荷物の整理をして、しばらく休憩ののち、再び街へ出る。

 

ホテルから数分の所にある廟街を歩く。

南の露店の起点から北上し、途中、天后廟のある公園を通り抜け、北の露店の終点まで、端から端まで歩いてみた。

初めての香港のときからほとんど変わらぬ光景の廟街だが、どうも人の数が少ない。大陸からの旅行客がやはり少ないのだろうか。

 

廟街と北海街が交差する角にかつてあった、大牌檔の集合体は全部取り壊され囲いで覆われていた。ビルが建つようだ。

 

かつてのここはこういう感じだった。2006年撮影。

台湾の夜市などに比べるとちょっとダークでハードな大牌檔の世界。

 

ここでビールを飲みながらの夕飯は楽しかった。

 

それが跡形もなく消えた。

こんなことなら、ここでもっと食べ、写真を撮るんだった。

 

気を取り直し、あとで夕飯をテイクアウトするためのお店に当たりをつけながら、廟街やその周辺を歩く。

これから香港ドンキに行くから、テイクアウトはかなり遅くなりそうだ。

 

再び彌敦道に戻り、南に向かってホテルから徒歩数分の所にあるミラプレイス2にオープンしたばかりの、ドン・キホーテの香港店「DON DON DONKI」に行く。24時間営業のお店。

お店には彌敦道から直接階段で下りて入るようになっていた。

下りてみたら、夜も11時になろうかというのに、すさまじい数の客でごったがえしていた。

日本のドンキの、ジャングルのような「圧縮陳列」よりはゆったりしているが、あまりの人の多さで売り場が大渋滞になっている。

生鮮食料品や弁当、お菓子などの売り場にけっこうなスペースを割いている。売っているものは日本のものが多い。

 

店に来た目的は、ホテルの部屋でビールを飲むために使う保冷タンブラーを手に入れるためだ。しかし日用品の売り場が日本に比べてことのほか小さい。

こりゃダメかと諦めかけたら、夏のシーズンだからか、保冷モノの商品がピンポイントで陳列されているのを発見。

その中にステンレスの真空保冷タンブラーがあった。

ドンキオリジナル商品で48香港ドル(≒650円)。

ドンキで保冷タンブラーを売ってるんじゃないかと踏んだ目論見が当たり、嬉しい気持ちでレジに向かう。

これだけの客の数だから、レジはさぞかし長蛇の列かと覚悟した。

ところがレジには客がほとんどおらず、あっけなく会計を済ませることができた。

帰りがけにふと見ると、入り口に買い物カゴが高く積まれていた。振り返って食品売り場を歩く客を見ると、カゴを持っている客が少ない。

もしかしたら、ここにいる客の多くは、買い物ではなく見物に来ているのかも、と思ってしまった。

 

保冷タンブラーをワンショルダーバッグに詰め、再々度ホテルに戻り、少し休憩ののち、テイクアウトの夕飯を買いに再び街へ。

きょうは何度もホテルから街へ、街からホテルへと行ったり来たりだ。

 

で、茶餐廳でテイクアウトしてきたのがこれ。

レシートを紛失してメニューの名前は不明。

ざっくり言うと左から米粉(ビーフン)、炒飯(チャーハン。なんで黒いのか忘れたが揚州炒飯でないことは確か)、蝦仁炒蛋飯(海老と玉子炒めご飯)。

これをドンキで買ったステンレス保冷タンブラーに注いだサンミゲルビールとともにいただく。

「香港初日の晩さんがこれかよ~」と思うことなかれ。

ホテルの部屋でテレビを見つつサンミゲルで一杯やりながら茶餐廳のB級グルメを味わうのが私にとっての至福のひとときなのだ。

だいたい、これがやりたいから香港に来ているようなもの。

ほんとうは、この深夜の晩さんで、テレビから流れるのが昔のようにモノクロの古い香港映画だったなら100点満点。でもそれはもう望めない。

かつては深夜0時を過ぎると無綫電視(TVB)も今は亡き亞洲電視(ATV)も、傷だらけのモノクロ香港映画を続けざまに明け方近くまで何本もやっていた。

それだけ両テレビ局とも当時は手抜き(?)の番組編成だったのかもしれない。

 

それにしても香港の物価は高くなったなあと実感。このテイクアウト3つのメニューで日本円で2000円くらいした。

 

あした8月31日にどこに行くか決めぬままベッドに入った。

香港島側に渡ることだけは決めていた。