2007年3月アーカイブ

 香港での公共交通機関でなくてはならないのがオクトパスカード(八通達)。これ1枚で香港のあらゆる乗り物が乗れる便利なプリペイドカードです。カードを改札口の読取り部にタッチするだけで出入札できる便利なもの。香港ファンの中には持っている方も多いと思います。オクトパスカードを使うときに鳴る「ピッ」とか「ピポパ」という音は、すっかりおなじみになりました。入札と出札で音が違うんですよね、たしか。この音を聞くと「今、香港にいるんだなあ」と感じ入ってしまいます。

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     これは学芸員Kのオクトパスカード。なんの変哲もありません。持ち主の名前が
     刻印される記名式もあるようです。クレジット機能付きということで、だから香港
     在住者でなければ手に入らないらしい。その記名式のヤツが欲しい!


 万年香港観光旅行客の学芸員Kが初めてオクトパスカードを手に入れてまずやったのが、ショルダーバッグの底にこのカードをセットしたこと。地下鉄の改札口を通り抜けるとき、地元の人々がやるようにカードを出さずにバッグをかざして通過するためです。地元民の行動に少し近づく快感。地元の生活者にとってはオクトパスカードは便利な道具以上の何ものでもありませんが、香港マニアの観光客にとっては、それ以上の意味を持っています。

 今では在住者だけではなく多くの観光客も利用するようになったとは思いますが、香港の地元民の行動に少しでも、少しでも近づきたいという永遠の欲求に応えてくれるツールのひとつが、オクトパスカードなのです。

 地元民に近づく行動。香港ファンの勝手な自己満足。オクトパスカードをバッグに忍ばせて地下鉄の改札を通過する以外にもいろいろとやってきました。もう10数年前になりますが、現地のポケベルやPHSを買って持ち歩いたりしたこともある。そんなもの当時学芸員Kは日本では持っていなかったのに。連絡がくる相手は香港人の数少ない知人からのみ。だから、こっちから折をみて公衆電話をかければ済むことなのですが、ポケベルやPHSを連絡を香港の街なかで地元の人々の真似をして持ち歩いてみたかった。当時、香港の人々はバッグなどに入れずに手に携帯電話を握り締めて街をあるいていました。わずかな期間の香港滞在ごとに、毎回、回線の再開と停止の手数料で数千円の出費でした。

 香港で風邪を引いて、わざわざ西洋医ではなく漢方医に行って診てもらって、処方されたドンブリ一杯の真っ黒な煎じ薬を一気飲みしたこともある。すごく苦かったです。上環の路地裏の古い雑居ビルを上がったところにあった漢方医の部屋の中で、「これでまた『香港』の経験値が上がったな」 とひとり悦に入りましたが、よく考えりゃ地元の人だって今どきはほとんどが西洋医に診てもらっているだろうに。

 こういう、香港に惚れた人間の、あさっての方向への暴走は、香港在住日本人の人々から見たら涙を誘う行為かもしれません。学芸員Kの場合、これまで香港にいた総滞在日数だってカウントして頭の中にありますからねッ(笑)。

 話は戻って、オクトパスカードです。このオクトパスカードが香港にお目見えしたのは1997年9月とのこと。つまり香港が中国に返還されて間もない頃です。オクトパスカードはソニーの非接触型ICカードFeliCa(フェリカ)の技術を採用しています。日本でもJRが首都圏の「Suica」や関西の「ICOCA」、東急が世田谷線の「せたまる」に採用していますし、そのほかけっこう各地で導入されているようですが、オクトパスカードのような相互交通機関で利用できる統一のカードはありませんでした。……たしか。しかし、ついに日本でも、首都圏で相互利用可能なシステムが3月18日に登場するという。名前は「PASMO」。オクトパスカードに遅れること実に10年です。

 香港には地下鉄、トラム、バス、タクシー、フェリーなど様々な乗り物があります。しかし、それぞれの交通機関の乗り換え自体はいたってシンプル。いったん交通機関を降りてシャバに出て、別の交通機関に乗るなら改めてオクトパスカードをそこで利用するという極めて当たり前のパターン。しかし、日本の首都圏の交通網は言うまでもなくかなり複雑です。東急や西武などの各私鉄の各線は、そのかなりが地下鉄の東京メトロや都営地下鉄やJRに接続して相互乗り入れをしています。実際、改札を出ないまま3つとか4つの鉄道会社の電車をスルーして乗降することは日常的に行われています。

 PASMOが導入される首都圏エリアに存在する駅やバス路線の数がいったいいくつあるのか見当もつきませんが、すさまじい数です。東京メトロだけでも162駅、東武は201駅もあるらしいです。相互乗り入れの複雑さや駅の多さといった首都圏の公共交通の状況がこのシステム導入を香港より10年遅らす原因になったのか。何事もすばやく決断する香港人と、石橋を叩いて渡る日本人の性格の差が出たのかもしれません。

 先日テレビのニュースで、PASMO導入直前の様子を報道していました。PASMOの開発ルームには各社の自動改札の機械が置かれていました。ここで、あらゆる乗り換えパターンの天文学的な数字の回数のテストを繰り返してきたということです。そんな長い時間をかけて綿密なテストをして、万端整えてのスタートなのでしょうが、でも、最初のうちはトラブルが起きそうな感じもします。

 どんなにテストを繰り返しても、実際にスタートすれば現場でトラブルが起きるのは当たり前。仕方がない。でも、テレビのニュース番組のスタッフは、スタート当日の乗客の混乱ぶりや、おそらく起きるであろうトラブルを、「やっぱりトラブルが起きました!」という感じのリポートをするために、すでに今からあらかじめ予定して手ぐすねひいて待っているような気がしないでもありません(笑)。

 香港では嬉々としてオクトパスカードに飛びついた学芸員Kですが、東京ではPASMOはあくまで生活の道具にすぎないのでワクワクした感じがないです。学芸員Kがオクトパスカードを地元民の通行証のように感じて手に入れたように、東京が好きな海外からのリピーター観光客がこのPASMOにトキメいたりするのかも。

 PASMOは、改札口では「ピ」「ピポパ」の音は鳴らないでしょうけど、ぜひこの音は香港だけのものにしてほしい。香港に行ってこの音をまた聞いたときに「ああ、香港に今いるんだなあ」と思いたいので(笑)。

 PASMO 公式サイト
 http://www.pasmo.co.jp/

 PASMO ウィキペディア
 http://ja.wikipedia.org/wiki/PASMO

 オクトパスカード 公式サイト
 http://www.octopuscards.com/

 オクトパスカード ウィキペディア
 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AA%E3%82%AF%E3%83%88%E3%83%91%E3%82%B9

 ソニーFeliCa 公式サイト
 http://www.sony.co.jp/Products/felica/

 ソニーFeliCa ウィキペディア
 http://ja.wikipedia.org/wiki/FeliCa

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