通勤電車の友「深夜特急」

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 通勤電車で読む本がたまたまなかったので、年末、本棚にあった沢木耕太郎の「深夜特急」の文庫本をバッグに放り込んでおきました。今日、行き帰りの電車で久しぶりに読み返しました。

 インドのデリーからロンドンまで路線バスを乗り継いで行く、という壮大な旅がこの本に描かれています。

 で、その旅の序盤ですらもないデリーの手前で、ただ単に航空券がデリーに行く途中にストップ・オーバーできるからという、それだけの理由で著者が立ち寄ったのが香港です。

 ところが著者はたまたま降り立ったその香港の魅力にはまっていきます。香港を歩き、見て、食べて、人と出会い交流するその様子を、つい私は初めて香港に行ったときの自分の姿と重ね合わせて読んでしまいます。

 私は同じ本を何度も読むことはあんまりないのですが、でもこの本だけは別です。ページを開くとついつい読み入ってしまいます。

 この「深夜特急」は、もともとは単行本としてまず第1巻(「第1便」)と第2巻(「第2便」)が1986年に出て大評判となりました。第2巻まで読んだ私は、次に出ると予告された完結編の第3巻がなかなか刊行されないので、もう出ないまま未完に終わってしまうのだと思っていました。最初のうちはいつ出るんだとヤキモキしましたが待ちくたびれていつの間にか忘れてしまいました。そうしたら6年ものブランクをあけて1992年に第3巻(「第3便」)がひょっこり出ました(写真左の3冊が単行本)。

 私は、さらにその後刊行された文庫版の第1巻「香港・マカオ」編(写真右)も出てまもなく買ってしまいました。こっちはもっぱら通勤電車用です。ちょうどうまい具合に香港とマカオのパートです。文庫版は巻末に著者の沢木耕太郎と「香港旅の雑学ノート」の山口文憲の対談も載っています。文庫版は全6巻です。

 まだ読んだことのない方は、第1巻がちょうど香港とマカオのパートとなっている文庫版がおすすめです。安いし。

 テレビドラマにもなるくらい人気があり評判も高かっただけに、一部でその内容に「嘘がある」という指摘もされていたようです。たしかに、執筆より何年も前の旅の日々が、まるで今日ついさっきあった出来事のような感じで描かれているので、そこかしこにフィクションというか創作も入っているのだろうなと思います。

 でも、この作品は理屈抜きで読んでいて楽しいです。もちろん特に香港のところが。たとえフィクションがあったとしてもそれはスパイスとして私は受け入れます。この本は混み合う通勤電車の中で私を旅の空の下にいさせてくれます(現実逃避か!)。

 先日、ブックオフに行ったら、単行本が全3巻ありました。105円コーナーに! 著者と出版社には悪いですが、新品を買わずとも、人気のあった本なので、近くのブックオフに行けば単行本はともかく文庫本のほうはけっこうな確率で手に入るのではないでしょうか。

 参考:アマゾン「深夜特急1 香港・マカオ」(読者レビューが熱いです!)
     ウィキペディア「深夜特急」

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コメント(4)

こんばんは!
偶然ですねえ~ 実は、今この本を読み返しているところです。時々、思い出したように読んでいるのです。
私が男性で、若い時に読んだら、絶対にこのような旅をしていたと思います。男性はいいな~って、よく思いました(でも、ゴキブリはダメですが・・・)。

太太さん

そうでしたか~偶然ですね!

アマゾンの読者レビューを見てみても、この本の影響で放浪の旅に出た人がいることがわかりますね。

私自身は放浪よりも「一極集中都市滞在」が性にあっていますが、それでも学生の頃、香港に行く前に、北海道1ヶ月旅行というのをしたことがあります。あてもなく列車に乗ってあちこちのユースホステルを泊まり歩いてました。

そのとき、「あ、これを外国でやってみたら面白いかも」という考えがよぎりました。でも、思っただけ…。

いま振り返ると、「あんとき行動に移して、やっときゃ良かったなあ」という思いがあります。

カミさんが学生のころに1ヶ月だけですが中国放浪を経験しているので、うらやましく思っています。

学芸員Kさん、再びコメントします。
私も大学時代北海道を3週間国鉄パスを使って回りました。もちろん、友人たちとの5人旅で所謂カニ族でした。ユースと国民宿舎を使って。学芸員Kさんの方がずっとお若いと思いますが・・・私にとって、こういう旅が今の原点になっていると思います。奥様も旅好きな方のようで、良き理解者ですね^^

太太さん

私もパスを使っての旅でした。パスの期限が切れそうになった頃、たまたまユースホステルで同室になった人が、「僕はもう帰るから、パスを取り替えましょう」言ってパスを交換してくれて、長期間回ることができました。本当は切符の交換はしてはいけなかったのかもしれませんが……。

カニ族という名前、たしか、幅広のバックパックをかついでいると、船(青函連絡船?)の狭いタラップとかを降りるときに横歩きしないと歩けないから、それがカニのようだということで付いた名前ですよね。

私の旅のスタイルは「1都市集中探検」で、その原点が最初の香港でした。

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このページは、学芸員Kが2009年1月 5日 13:56に書いたブログ記事です。

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