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     【会場ロビーにあったポスター】
 この作品、すごく楽しみました~。香港映画ならではの突っ込みどころがたくさんありましたが、それでも 「香港映画、ここにアリ」 を堪能しました。ストーリーはココ
 すでにエキスパートの方々のブログでいろいろ語られていますので、この作品に対しては断片的になりますが箇条書きで。野暮な突っ込みもありますけど、ご容赦を。アトランダムに書きます。
 ●トラムを使ったアクションなど、香港街歩きファンには嬉しいシーンがたくさんありました。
  それを嬉しいとなぜあえて書くかといえば、香港映画祭出品作4本のうち2本が
  香港を舞台にしていなかったからです。
  今回の香港映画祭では、この『男兒本色』と『鐵三角』の舞台が香港ですが、
  『父子』はマレーシア、『天堂口』は1930年代の上海(オープンセット)でした。
 ●ジェイシー・チェンは、敵が幼稚園バスに仕掛けた時限爆弾がタイムリミットになっても
   爆発しなかったので、逃げなかったけど、そこでいきなり安心しちゃっていいの? 
   横に幼い園児もいたのに。
 ●幼稚園児が爆弾がらみで人質にとられ、それは解決し、警察署までジェイシー・チェンが
   バスを自ら運転して何事もない静かな警察署に帰ってきたけど、どうして園児の保護者は
   迎えに来ていないの?
 ●この映画ではいくつものすさまじい爆破シーンがありましたが、これらはCGの力も借りて
   いるのでしょうか。なかなか迫力がありました。
 ●香港島のトラムでのアクションシーンは大掛かりで楽しかった。
   さすがにあれはゲリラロケじゃなさそうだし、交通封鎖してやってるんですね。
 ●警察署として映画で使われたビルのエントランスがお洒落な全面ガラス張りでしたが、
   警察署としてはあまりリアルではなかったです。こんな無防備な造りの警察署はないです。
 
 ●私はニコラス・ツェーを見るといつも無意識に武田真治を思い出していましたが、
   今回はジェイシー・チェンに、元テニスプレーヤーの松岡修造の顔を重ねてしまいました。
   ひょっとしてこのジェイシー・松岡似てる説は以前から言われているのかな?
  
 ●ニコラス、ショーン、ジェイシーの3人のアクションがすごく良かったです。
   私なんか、いまだに80年代のゴールデンハーベストやD&Bやシネマシティ作品を
   基準にしてしまうので、それからしたら、彼らのアクションもそうですが
   アクションシーンの撮影技術の発展には目を見張るものがありました。
 ●警部役で出た、マーク・チェン、私は最初はマーク・チェンだとは気づきませんでした。
   けっこうなオッサンになっていて感慨深いです。私も年を取るわけだ(笑)。
   最初に彼を見たのは『刀馬旦(北京オペラブルース) 』(1986年)だったかなあ……。
 ●クライマックス近く、敵のボスのウー・ジンへのとどめの一撃のシーンで、
   ショーン・ユーの(あるいはニコラス・ツェー?)のパンチが寸止め状態のゲンコツアップの
   場面になってどういう状況かよくつかめない不自然な場面が一瞬あったように思うのですが、
   あれはどういう意味の描写なんでしょうか? 私の見間違いかもしれませんが。
   また、それまでの数々の華麗で派手なアクションを展開したのに、ニコラスとショーンの
   クライマックスのそのゲンコツの一撃シーンはあまりに凡庸に感じました。
 ●最後にニコラスが、敵のボス、ウー・ジンを、床で上を向いているガラスの破片を使って
   絶命させようとウー・ジンの身体を押し倒し、ウー・ジンの首に刺さりましたが、その後、
   今度はショーン・ユーがウー・ジンを棒で刺し殺そうとしたら、
   ニコラスが 「やめろ、俺たちは警官なんだ」って、それって、少しおかしくないかな?
  
 娯楽映画に屁理屈で突っ込むのは野暮というものですが、私は、香港映画にはハリウッド映画に比べて、やはりまだまだ「隙」があるのではないかとあらためて思いました。娯楽作品こそこの隙はなくしたほうがいいのではないか。大局的には荒唐無稽でも、細部の辻褄を合わせておいたほうが、娯楽作品として手放しで楽しめるからです。
 でも、『男兒本色』は香港映画のアクション娯楽作として、私自身にとってはひさびさに存分に楽しめました。面白かったです。もう一度大きな劇場で、今度はスクリーンの近くで観てみたいです。
 日本語字幕はHongKongAddictBlogでもおなじみの水田菜穂さんです。昨年の映画祭の『I’ll Call You』に引き続き、水田さんの字幕で楽しませていただきました。
 ●『男兒本色』公式サイト
 http://www.invisibletarget.com/