今回は直接香港とは関係ありませんが、私の好きな古き良き香港の映画館の、「映画館」つながりです。
私がよく行く三省堂書店神保町本店の6階に、スタジオジブリが発行している「熱風」というフリーペーパーが置かれています。
月刊の文芸誌などと同じ小ぶりのA5判で中身はオール1色。地味な雰囲気。
しかし、なかなか面白い内容なのです。80ページで本文2段組みとボリュームがあり、なかなか読み応えあり。
スタジオジブリの宣伝とか広報とは特に関係ない内容です。こんなご時世にこんなフリーペーパーを毎月出す、ジブリの経済的な余裕を感じてしまいます。
この「熱風」で私が好きなのは、ふたつの連載。20世紀FOXなど洋画の配給会社で長らく活躍していた人物による映画業界の裏話や、現東宝社長による若かりし頃の映画製作の話などが毎月寄稿されています。
私は月に1回出るこの雑誌を楽しみにしています。
この「熱風」は、特に映画ばかりを扱った本というわけではないのですが、最新号の1月号の特集が、「映画館」。
映画館に携わる当事者の寄稿による「映画のデジタル化」や「新宿バルト9ではじめた試み」、アメリカの3D映画のエキスパートが語る「3D技術」、映画好きの放送作家が語る、実は今名画座が盛況という「東京の映画館はどういうことになっているのか」、清水ミチコさんが語る「映画よりも映画館が好き」(彼女は台湾など海外に行っても映画館に行ってしまうとのこと)など、フリーペーパーにしておくのはもったいない内容です。
この記事のなかに、「日本最古の映画館」として、愛知県西尾市の西尾駅前にある「西尾劇場」というのが、名前だけですがちらっと紹介されていました。
気になったので検索したら、紹介されていました。
これが西尾劇場。昭和15年(1940年)に他の場所からここに移築して以来現在まで続く劇場だそうです。
ネット上ではここで紹介されていました。
http://www.cinema-st.com/road/r050.html
このサイトには、この西尾劇場ほか日本全国の映画館が紹介されています。
「港町キネマ通り」
http://www.cinema-st.com/index.html
古い映画館には、(ディズニーランド以外の)遊園地が夕刻、ふと見せるようなわびしさがあります。現在主流のシネコンにはそんなものを微塵も感じさせない雰囲気がありますが、私は古い映画館の持つ「興行の匂い」がそこはかとなく好きでした。私が香港の昔の映画館が好きなのも、単に「大きいから」という理由だけではありません。私にとって香港の古い映画館は、イタリア映画『ニューシネマパラダイス』の世界でした。
今回の「熱風」の特集記事のひとつで、映画好きの放送作家さんが、現在のシネコンの良さや魅力を紹介しつつも、最後にこう書いていました。
「とにかく1日でも長く、新宿ミラノ1は存続してほしい、につきる。(中略)日本最後となった『大ハコ』で皆さんももう一度映画を観てほしい。お願いばかりですみません。」
香港も日本も、映画館を巡る状況は同じようですね。いや、香港には、もう存続してほしい「大ハコ」の大映画館が完全になくなってしまいましたが。
「熱風」の取り扱い店はここにリストがあります。
http://www.ghibli.jp/shuppan/np.html
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