このブログで何度かご紹介している香港のトラムファン、Josephさんから、おととい航空便で本が届きました。
「叮叮傳奇──香港電車知趣 Amazing Ding Ding」。
香港トラムの新刊本です。
劉銓登/謝耀漢の両氏による共著。
おふたりのうち、謝耀漢さんとは、すなわちこれ、Josephさんご本人です。
トラムファンのJosephさんが、ついに本を出しました。
実は今回、Josephさんからの依頼を受け、私も写真を何点か提供して、この本の刊行にちょっとだけ協力させていただきました。
提供したのは、1986年に私が初めて香港に行ったときに撮ったトラムの写真。
さっそく、中身を見ました。
濃いです。超マニアック。
著者両名の紹介に続いて、イギリスの「トラムウェイ&ライト・レイルウェイ・ソサエティー」の会長John R.Prentice氏から寄せられた3ページにわたる序文。
そして本編。 解説は、1904年の香港トラム誕生から始まります。そして当初は1階建てだったトラムが、やがて2階建て車両に移っていく変遷が説明されています。のちに名物となる2階建て路面電車の始まりです。
上の写真のアップ。これを見ると、初期のころは、1階建てだったトラムの屋根の上に骨組みを組んで、座席を設けたようになっていることがわかります。2階建てへの過渡期のような感じです。
1964~1982年に走っていていたという、単層デッキ(1階建て)の車両の解説。この車両は自走せず、2階建てのメイン車両に引っ張ってもらうシステム。プラスアルファの定員増。香港の人口が増えて利用客数がアップしたため急きょ対処したのか。
運転席の計器類にもいろんな種類があります。私は今まできちんと見ることがなかった。
「車架」っていうんですか。日本ではなんと呼ぶんだろう。……いま検索して調べたら、「台車」というらしい(これ)。見過ごしてきましたが、これにも種類があるようで、戦前からずっと使っていて今でも現役の車架があって、というかこれが今でもメインで全車両のなかで最も多くて104台。驚きです。私たちは戦前の台車に乗ってたのか。
電気がどのように流れているかを示す図入り解説もあります。
大昔使われていた切符の数々。昔は切符があった。
行き先表示の解説もあります。
もちろん、香港トラムの華、ボディ広告の紹介もあります。右ページ上の写真の赤白コンビのトラムが、1986年に私が撮影したものです。ボディにあるのはビデオカセットテープの広告。当時はVHSビデオ全盛。ベータもまだあったか? とにかく時代を感じます。
下段両端の2点が私の写真。「銀行」の広告のコレクション。
航空会社編。西北航空、すなわち、日本人にもおなじみだった今はなきノースウエスト航空。下のほうの写真が私の撮った1986年の写真。両方とも車両No.88です。
同じく航空会社編。左の2点が私が撮ったもの。
1986年の3月1日から20日まで、私の初香港の滞在中、街なかを走るトラムの中で、最もいいデザインだと思ったのが、この「英國金獅航空」(British Caledonian Airline)の広告。タータンチェック柄の全面広告。赤・青・緑の3部作。思わず写真に撮りました。
この香港旅行から帰ってきて作った当時のアルバムには、赤・青・緑の3つのこの金獅航空の車両の写真を並べて、その脇に勝手に「グッドデザイン賞」のマークを貼りました。
この本にはもちろん、有名な、今でも走っている現役最古の車両No.120も載っています。
右の表を見て初めて知りました。現在の120は、86を改装したものだった。
最後のページには、写真などの提供者のクレジット。世界各国からの提供。イギリス、ドイツ、フランス、アイルランド、アメリカ、オーストラリア、日本。香港よりも海外のほうが多いです。私の名前も載っています。
こんな感じで240ページのボリューム。そしてオールカラー。価格は118香港ドルです。
このほか、トラムのマークの変遷やさらに突っ込んだメカの解説、線路や工場の解説なども載っています。
さらに特別付録のポスター。
車両ナンバー、1~170のトラムがズラリと勢揃い。
私が写真で参加していなかったとしても、香港の書店でこの本を見かけたら買っていたと思います。
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ほかにも、
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夏休みに香港に行かれる方は、書店で見かけたら手に取って見てみてください。
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