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台湾人気が、ここ何年も続いている。

特に昨年あたりからはちょっとした「台湾ブーム」だ。

昨年のお盆休み、そしてついこの前の年末年始も、日本人の海外旅行先の一番人気は台湾だったそうだ。

テレビの旅モノ番組も台湾や台北ばかりが目立つ。

 

じゃあ、そんな人気の台湾の、「台湾本」っていったいどんな状況なのか?

売れてるのか? 台湾本。

私は昨年の9月から、一軒の大型書店で定点観測をしてきた。

書店では、売れてる本や売りたい本は棚にはささずに表紙を上に向けていわゆる「平積み」というやつで置かれる。

大型書店では、「台湾本」の平積みの状況はどうなっているのか?

 

本当は、われらが香港の「香港本」との対比で、

「激突! 香港本 vs. 台湾本」

というような見出しで記事にしようと目論み、書店の中の「アジアコーナー」の観測を企画したのだ。

香港本が劣勢なのは仕方がないとして、じゃあ、どれくらい台湾本は香港本に対して優勢になっているのか?

旅行先としての、香港の最大のライバル台湾の、「台湾本」の優勢の様子を見てやろうじゃないか、とかそんな記事を。

だが状況は、優勢とか、どれくらいとか、それどころじゃなかった。

「台湾本の 『平積み』 状況」 は、想定をはるかに超えていた。

 

定点観測の場所は冒頭の写真の書店。

本の街、神田神保町にある三省堂書店 神保町本店

明治14年(1881年)創業。創業100年を記念して昭和56年(1981年)に建てられた現在の本店ビルは、神保町のランドマークともなっている。地上8階、地下1階で、書店は1~6階。8階の特設会場は、有名作家を招いての講演会などをよくやっている。

まさに東京を代表する老舗大型書店。

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GoogleマップGoogleストリートビューGoogle 360°パノラマ

 

最もお客さんの多いのが1階。

広いフロアのその一番奥に、旅行ガイドや紀行本などが多数置かれたコーナーがある。

 

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ここの、いわば「アジアコーナー」となっている一角を、私は昨年の9月頃から今日まで定点観測してきた。

 

最初に書いた通り、売れる本、売りたい本は、店頭で「平積み」にされるからして、

じゃあ、「いま、香港本と台湾本の『平積み』の状況はどうなっているのか?」 を見てみた。

それが定点観測のメイン。

 

以下、写真の中の赤丸が台湾青丸が香港です。
(写真をクリックすると拡大して見られます)

さあ、定点観測だ。

 

2015年9月3日。

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いきなり、香港本が、1冊もない。

アジアコーナーの平積みは、なんと半分を台湾本で占めている!

ちなみに上段左から2番目の赤丸の「ayaco の 台湾 あいうえお」の著者ayacoさんは、台湾ファンからの人気が高い人。

 

約2週間後。9月16日。

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やっと香港本が1冊平積みに! 青丸の本。

「世界のシティ・ガイド CITIX60シリーズ 香港」

一方、台湾本は新しく「オモシロはみだし台湾さんぽ」が入ってきた(下段真ん中の黄色い表紙)。

 

次の日。9月17日。

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きのうあった「台北メトロさんぽ」に入れ替わるようにして、
「わたしのすきな台北案内」(下段右から2番目)が並んだ。

一方、香港本は引き続き「世界のシティ・ガイド 香港」が孤軍奮闘中。

 

このあとも日を置かずに定点観測を続け写真を撮ってきた。

いつか香港本の新刊が出て巻き返しをはかってくれることを願って。

 

だが、情勢は変わらず、台湾本の圧倒的優位で推移。

なので撮った写真は全部カット。

 

一気に2カ月後に飛ぶ。

11月30日。

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台湾本が増殖! 8冊に増えた。一部が新しい本に入れ替わった。

いくらなんでもこの光景……。ほとんどが台湾本じゃないか。

下段右から2番目の水色の表紙の「奇怪ねー台湾 不思議の国のゆるライフ」は装丁リニューアル版。売れているのか。

その左の「台湾行ったらこれ食べよう 駅弁・鉄道旅編」「台湾夜市を食べつくす」など、台湾本は正直、魅力的なタイトルのものが多い。

下段一番左の「GO! GO! TAIWAN  ローラも行った! 最旬台湾ガイド 」も新たに加わって、台湾本の一大勢力は冊数でもパワーアップ。

一方、香港本は9月から変わらず「世界のシティ・ガイド CITIX60シリーズ 香港」の1冊が平積みとなっている。

新たな本が参入して活況が続く台湾本。

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年が明けて2016年。

ところで、旅行ガイドブックの平積み状況は?

アジアコーナーから後ろに振り返れば通路をはさんだ反対側に旅行ガイドコーナー。

それがこれ。

2016年1月21日。

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台湾(台北)ガイド : 9冊 vs. 香港ガイド : ナシ。

並んでいるガイドブックをおおざっぱに要約すると、台湾(台北)に続きハワイ、そしてほんの少しのニューヨークと、あとグアムとソウルにシンガポール、ロンドン。

ガイドブックの方の平積みも、台湾・台北が突出しているという状況。

どうした香港 。

(なお、上の写真には写っていないが、右側には「地球の歩き方」の一角があり、そこでは「地球の歩き方 香港」がときどき平積みとなっています)

 

そして、きのうの3月4日。

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下段一番左は、「美麗島紀行」。作家乃南アサの台湾紀行本。結構骨太な内容らしい。年明け、新聞に「好評につき重版出来!」みたいな広告が入っていたのを思い出した。売れてるのか。

そして後ろを振り返っての旅行ガイドコーナー。

台湾のガイドブックは、POPの陰になって写真では見えない「地球の歩き方 MOOK 台湾の歩き方」も含めて8冊が平積み。

一方、香港のガイドブックは、一番左に青丸の「地球の歩き方MOOK 香港ランキング&マル得テクニック!」の1冊のみ。

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どこに行ったか香港本。ウチの本棚にはたくさんあるが。

 

やっぱり、売れる本が平積みにされる。

本屋さんだってたくさん本を売りたい。

それがいまは台湾か。

 

平積みの状況はわかった。

じゃ、棚の方はどうなっているのか。

 

こうなっている。

同じ3月4日。

香港本 : 青い矢印。 台湾本  : 赤い矢印

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うわ。

香港本はわずか9冊。台湾本は2段にまたがって、数えるのもめんどくさい。

 

いつまで続く台湾本の快進撃。

巻き返せ、香港本。

待ってるよ。