JR中央線や総武線に乗って水道橋駅と御茶ノ水駅の間を通過しているとき、車窓から見えるちょっと大きなビルがあります。左の写真です。中央線、総武線を利用している人ならいつもこのビルが目に入っていると思います。けっこう目立つ建物ですよね。
 で、このビル、「なんかあの香港上海銀行と似てるなあ」と思った人も多いんじゃないでしょうか。
 右の写真が言わずもがなの香港のセントラルにある香港上海銀行本店ビル。たくさんの新しい高層ビルがどんどん増えている今もなお、香港の街のランドマークとなっている存在です。
 
 並べてみると、たしかにちょっと似ている。「マネしちゃったんじゃないの~?(日本が)」。
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 実は似ているのには訳があって、何のことはない、ズバリこの2つの建物は同じ建築家による設計なのでした。
 東京都文京区の外堀通り沿いにそびえるビルは「センチュリータワー」といいます。
 香港と日本のこの2つのビルを設計した人はノーマン・フォスター。イギリスのかなり著名な建築家ということです。
 ウィキペディアを見たら「フォスター卿」ってなってます。「Baron」って男爵? なんか、窓に並木の紅葉が映るイギリスの大学の古い研究室で紅茶を飲みながら仲間の教授とクイーンズ・イングリッシュで建築談義をしている風景が頭に浮かびました。
 で、このウィキペディアによれば、「彼の名声を高めたのは1985年に完成した香港の『香港上海銀行・香港本店ビル』であった。建物を支えるために通常の柱や壁を使わず、建物の外側に鋼鉄フレームによる太い構造をむき出しにさせ、このフレームで超高層ビルを支えることに成功した。」とのこと。
 別のサイトによれば、センチュリータワーの施主が香港上海銀行ビルと同じ構造システムのものを望んだらしい、とあります。だから同じノーマン・フォスターに設計を依頼したということなんでしょう。
 センチュリータワーが完成したのは1991年。香港上海銀行本店ビルはそれから6年さかのぼって1985年の竣工です。
 私が最初にセンチュリータワーを見たとき、その建築年を考えなくてもセンチュリータワーのほうが香港上海銀行をマネしたように思えたのは、センチュリータワーが「香港上海銀行ほど冒険できなかったけど雰囲気を拝借した」控えめなデザインだと感じたからか。
 あとで同じ建築家の設計だと知って、納得しつつも少々残念に思いました。というのは、マネとかヒントを得たとか影響を受けたとかオマージュとかパロディとか、言い方はともかくそういう背景による別の人の設計だったほうがロマンがあって面白いから。
 この2つのビルの話、香港ファンにはすでにけっこう有名かなとも思いましたが、サイト「東京建物図鑑」さんでフリー写真が手に入りましたので載せてみました。
 ウィキペディア 「香港上海銀行 本店ビル」
 香港の 『へぇ~、そうだったの!? 』 】について