香港の中環に「雲咸街(Wyndham street/ウィンダムストリート)」という名前の通りがあります。雲咸街と聞いてピンとこなくても、中環のメインストリート皇后大道と交差する通りでその交差点に娯楽行という大きなビルが建っている、といえば「ああ、あの道か」と思い出す人も多いのではないでしょうか。フリンジクラブもこの通りにあります。

 中国のWang Gangさんという方により、この通りの歴史をたどった『An Illustrated Story of Wyndham Street』という本が今月、香港で刊行されます。

 この本には、100年にわたる雲咸街の歴史の解説とともに各時代の写真が掲載されます。その中の1枚として、1986年に私が撮った写真が載ることになりました。

 著者のWang Gangさんが1980年代の雲咸街の写真を探していて、私のサイトのページ(ココ)に行き当たりました。そして今年の1月、写真を本に使わせてもらえないかとのメールを私にくださいました。もとは単なる旅行で撮ったスナップ写真です。お役に立てるなら、ともちろん喜んでOKです!

 本に載るのはこの写真です。1986年に撮影。 

kings1986.jpg 

 あるいはタテ位置のこれ。先方にふたつ送っておいたので。

kings1986-2.jpg 

 香港に初めて行ったときに、当時あった大映画館「娯楽戲院」を撮ったものです。たまたま撮影したこの通りが雲咸街だったというわけです。

 私のサイトのページには「雲咸街」や「Wyndham Street」という語句は出てこないので、Wang Gangさんはおそらく「娯楽戲院」か「King’s Theatre」で検索して、このページに行き当たったのだと思います。

 Wang Gangさんから依頼があったので、5月に、元のネガを印刷用に思いっきり大きなデータにスキャンしなおしてメールで送りました。

 ところで、なぜ「雲咸街」なのか? Wang Gangさんによれば、この雲咸街の歴史をたどると、香港の文化の起源と発展を見ることができるということです。

 この通りにはさまざまな新聞社や出版社、図書館など、香港の文化に関わる重要なものが各時代にあったらしいです。古い香港に造詣の深いishikawaさんに送っていただいた1950年代の地図を見ると、なるほど、あのサウスチャイナモーニングポストのビルもこの通りにあったことがわかります。(1950年代の古い地図は、以前載せましたコチラ〔ページの下の方〕)

 今回のいきさつについては以前書いたコチラ

 というようなわけで、去年香港で出版された『憶記戲院記憶』に続き、今回は中国本土の方が香港で出される本に私の写真が使われることとなりました。

  たまたま映画館を撮った写真だったのですが、こういう形でまたまた本に載るなんて、前回に続き少々驚いています。

  この『An Illustrated Story of Wyndham Street』は、香港ブックフェアの前に刊行されるらしいので、もうそろそろ出来上がると思います。