なんども書いてしまいますが、私にとって「香港からなくなって今でも悲しいと思うものが3つ」あります。
それは大映画館、九龍城砦、
そして啓德空港です。
その啓德空港を扱った「啓徳懐想」(関根寛著、発行:TOKIMEKIパブリッシング/発売:角川グループパブリッシング)がついに発売されました。神保町の東方書店で買ってきました。
私が行ったときはレジ前に10冊ほど平積みになっていました。さすが東方書店です。
書店で見つけて、中身を見ずにレジへ。
帰ってきて中身を見て驚きました。私が勝手に想像していたものとはまったく違ったから。
私は、いわゆる一般的な構成の書籍だと思っていたのです。つまりタテ組みの、あくまで
文章をメインにして、当時の啓德空港の思い出を著者がつづったものだ、と、勝手に思っていました。出版社のサイトにカラーページが紹介されていたのですが、私はそのカラーページを「口絵」だと思ってました。
ところが、中身を見てビックリです。
カラー写真をふんだんに使った、ムックのような構成で、写真1点1点にキャプションが付いて、1ページ1ページ、凝ったレイアウトがされています。そしてコラムあり図表あり年表あり。
ぱっと見ただけでも、章立ての構成を練ったり、写真を集めたり、書いたり、編集したりに相当な時間がかかったんだろう
というのがわかります。
この本は、私にとっては今年一番の、いや少なくともここ数年で一番ビビッとシビレた香港関連本です。
著者の関根寛氏は、mixiでは私のマイミク(mixi仲間)になっていただいているのですが、とにかくこの「啓徳懐想」は、著者の啓德空港に対する愛情
が伝わってきます。
たとえばこれが間口の広い普通の香港のガイドブックなら、たのまなくても毎年、さまざまな出版社からそれこそ何十種類と出ます。
しかし、この本が題材とする啓德空港は閉港して10年です。
10年前になくなった空港の本が出るなどというのは、
これはある意味奇跡だと私は思いました。
こういうコアな本は、当たり前ですがそれをやろうと思う著者とそれを引き受ける出版社がなければ実現しません。
10年前になくなった啓德空港を詳細に紹介した本が日本から出てるのを知ったら、香港の人々は「へえ!」となると思います。
香港関連本アカデミー賞とでもいうものがもしあって、私が審査員になれたなら、部門別では「コア賞」、そして総合部門の「作品賞」として、私はこの本に1票を入れます。
これが裏表紙。このグリーンの色は、ページを開くとトビラのタイトルや本文の見出しなどでも使われていて、いわばこの本のテーマカラーのようになっています。
このグリーン、思うに
これはキャセイパシフィック航空のコーポレートカラーをあやかったのではないでしょうか。著者の関根氏の発案で、デザイナーさんや担当編集者の方と相談して、「キャセイのグリーンで行こう!」と、決めたのではないかと。
実は、私も自分のサイトのトップページを作るとき、タイトル周りの色やケイ線を、キャセイパシフィックのグリーンにしたのです。だから、なんか、ものすごく共感できたのでした。
中身の感想についてはまた折を見て。
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