先日NHKでやった「NHKスペシャル チャイナパワー 第1回 ”電影革命”の衝撃」でメインで取り上げられていたのが、映画「十月圍城」です。

 この映画の舞台となる1905年の香港の中環は大きなオープンセットで建設されました。

bodyguards3.jpg セットの写真がここでたくさん見られます。
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 こういう香港の古い時代の街を模したテーマパークがあったらいいのに、と思ってしまいます。時代は「十月圍城」よりも現代に近い1960年頃。お店では実際に当時のメニューでご飯も食べられます。茶餐廰もあります。本屋さんでは香港の古い街の写真集や地図を売っています。映画館ではモノクロ映画をやっています。と、いうような。(そういえば、もう10年以上前、NHKスペシャルで今回のチャイナパワーのような中国のシリーズをやったとき、第1回の放送で、中国で映画のテーマパークのようなものを建設するとかでその記者発表にジャッキー・チェンら香港スターの顔もありましたが、その後、この計画はどうなったのでしょうか?)

「十月圍城」中文ポスター

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「十月圍城」英文ポスター

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 「十月圍城」公式サイト
 http://www.bodyguardsandassassins.com/

 最近、アメリカ映画以外の、香港映画や中国映画や日本映画を含めた各国の映画を見ると、「アカ抜けて洗練されているなあ」と思ってしまいます。

 以前はアメリカ映画が、ピントのシャープさや、タイトル文字の出てくるオープニングの凝りようや、サウンドなど、作品の出来以前の段階の、「製品」という点で、その質や洗練度の高さで他国の映画より一歩ぬきんでていたと思います。

 でも、いまでは機材やコンピューターの発達のおかげで、そしてそれらを得たスタッフの技量も上がったのでしょうけど(またスタッフの国際交流もあって)、映画製品の質や雰囲気でアメリカ映画との差がなくなったように思います(その分、個性も薄まったのかもしれません)。

 極端に古い例ですが、たとえば1971年のブルース・リー主演の香港映画「ドラゴン危機一発」のオープニングはこんな感じでした。


 同じ時代のアメリカ映画のことを考えると、その造りの差が歴然です。もちろん表現の違いや味わいの点では比較などできないのですが、その造りというか、商業映画を「製品」としてみた場合の質という点で。

 そして1995年のインド映画「ムトゥ 躍るマハラジャ」はこんな雰囲気。


 インド映画がいまどんな雰囲気かは知りませんが、この映画に限ってみれば、1995年の段階ではまったくの異世界の雰囲気でした(これは質とかそういう次元の話じゃないか……。この映画は面白くて映画館に2度観に行きました)。

 日本映画も、ちょっと前までは泥臭い雰囲気のものが多かったのに、おしなべて洗練されたと思います。こういう、製品としての映画の細部の仕上げという点で、今、各国の映画は均質化していると思います。

 「十月圍城」から話が飛んでしまいました……。