下の記事の『溜走的激情 80年代香港電影』には、私が撮影した写真以外に、私が黄さんに画像を提供した資料の写真も載っています(上写真)。
これは、かつて旺角にあった「南華戲院」の場内。
「甲午風雲」という映画のパンフレットに載っていた「南華戲院」の広告の写真です。
「甲午風雲」は中国本土の作品で、検索してみたら1962年の映画でした。
香港での上映も1962年ではないかと思い、したがってパンフレットのこの写真も1962年のものと推測しました。しかし黄さんのブログによれば南華戲院は1966年の開業のようです。この広告は南華戲院の開業間もない頃の広告なのかもしれません。
私の知る香港の映画館は、この南華戲院も含め1986年以降のことになりますが、当時の香港の映画館はどこもまだこの写真の雰囲気とほとんどまったく変わっていませんでした。
椅子が小さくクッションも薄くてペラペラ、座席数は1000席以上、2階席があって天井が高い。考えてみればちょっと前までの日本の映画館も同じような感じでした。
かなわぬ夢ではあるけれど、こんな大映画館でまた香港映画を観てみたい……。深夜の午夜場、入り口には「満座 FULL」の札、1000人を超えるの満席の場内、香港人にまぎれて観客のひとりとなり、ヤジや拍手や歓声や爆笑に鳥肌立てながら。
手元の「香港影視百年」という本の中に「1985年 主要映画館 経営状況」という表が載っています。これによれば南華戲院の座席数は1階が866席、2階が412席で総座席数1278席となっています。当時の香港では珍しくもない規模ですが、大きな映画館です。
しかし南華戲院も他の映画館と同じく、1990年代になってから1階と2階を分断して映画館をふたつにして「南華1」「南華2」という名前になり、その後は閉館という、当時の香港の大映画館のもっとも典型的なパターンをたどりました。
南華戲院の閉館後、「東京銀座」とかいう名前のついたショッピングビルへの改築を告知する大きなシートが建物に貼られていたので、なんだかなあ、と思いましたが、ネットで見てみるとどうやらこれも営業を停止したようです。現在はどうなっているのか知りません。
この映画パンフレットは1990年代に香港の骨董屋さんで手に入れました。買ったときのことは覚えていませんが、「80」というシールが貼ってあってるので80香港ドルで買ったのだと思います。黄さんによれば、もうこういうパンフレットはそんな値段では手に入らないとのことです。
パンフレットにはこの「南華戲院」のも含め、まだ面白い広告が載っているので、また今度アップします。
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