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 先日の記事への、

 「香港」と「香江」。

 私も似たような経験が。

 上のビデオ。尖沙咀のDFSギャラリアで買ったビデオです。

 「THE HONG KONG STORY 香江故事」。

 10数年前に買ったもの。

 このとき、私は初めて「香江」という表記に遭遇しました。

 「THE HONG KONG STORY」という英文表記が横に書いてあったので、「香江」とは「香港」のことだとは推測がつきました。

 でも念のため、売り場にいた店員さんに

 「『香江』とは何のことですか?」と聞いたら、店員さんは

 「香港と同じ。香港のことです」と言いました。

 

 私は、そのとき、この「にすい『冫』」  の「江」 が、「港」の略字(簡体字)なのかと思ってました。

 中国本土で「中華」の「華」を [化] + [十] を上下に重ねて表すみたいに、香港にも本土みたいな簡体字みたいなものがあって、「港」の簡体字が(にすいの)「江」なのだと思ってました。

 で、阿郎さんのコメント(コチラ)。

 阿郎さんの私見とのことですが、私はなるほど、そうなのか、と思いました。

 「江」は「港」の略字ではなくて、「江」はあくまで「江」という文字か。

 「港」と同じ発音の、簡単な文字として、「江」に置き換えて使っている。

 で、「香港」を、「香江」と表記するのは、その表記に意味やニュアンスを込めてのことなのだと思います。

 日本でも、漢字を置き換えて、ある意味やニュアンスを込めた表記があると思います。

 その例が今ちょっと思い浮かびませんが、でもたとえば、よくあるのが「大学」を「大學」と旧字体で表記している大学名。これは旧字体を使ってアカデミックさや威厳を出しています。日本の場合は繁体字にするとレトロな感じになりますが、これは「香江」とは逆のパターンか。

 あるいはこれは漢字ではないけど、「東京」を「トーキョー」と書いて国際都市の匂いを出していたりすることを雑誌のタイトルで見かけます。日本語にはカタカナがあるから便利です。「ビョーキ」とか「ワタシ」とか。日本語の場合、カタカナへの置き換えはそれこそ無数にあります。

 思い出しました。話は脱線しますが、アメリカで「AMERIA」というタイトルのドラマがありました。アメリカ合衆国がソビエトとの戦争に負けて占領されるという物語です。「AMERICA」をロシア語風の「AMERIA」にしてタイトルにしたというものです。

 で、「香江」。

 阿郎さんが挙げられたように、現在毎日催されているシンフォニー・オブライツは中文では「幻彩詠香江」というタイトルだし、これから建設予定の啓徳空港跡地の施設は「香江飛環」という名前だという。

 「香江」にはどんなニュアンスがあるのか?

 香港ローカルの人々が「香江」の表記に対して肌で感じているニュアンスを知りたい……。

 
 手元の漢和辞典で調べてみました。「江」という字は、簡単に言うと

 1.揚子江のこと。
 2.川。大きな川。

 ということしか載っていませんでした。

 これはまさしく私見ですが、「香江」の表記には、

 ノスタルジーを表す意外にも、悠久の時の流れとか、そういうニュアンスもあるのかもしれません。

 ……でも、私はやっぱり「香港」のほうがしっくりきます。

 上のビデオ、「香港故事」と「香江故事」のパッケージが並んでいたら、「香港故事」のほうを迷わず買います。なんか、「香江故事」だと北京語音声が入っているような気もしてしまいます。

 廟街でお土産のTシャツを買うとき、もし「香江」と「香港」が並んでいたらどっちを買いますか?

 そりゃ、レパートリーのひとつとして「香江」を選ぶかもしれないけど、私ならやっぱり「香港」です。