yoru_no_nathanroad.jpg 香港には夜に到着するのが好きです。

 これまでの香港行きで私は、夜遅く到着するノースウエスト便を最初の3回で使ったのを除くと、ほとんどがキャセイの一番早い午前10時成田発の便を使ってきました。

 そりゃ早く着いたほうがそれだけ長く香港に滞在できるからです。

 でも、本当は、夜に香港に到着する方が、私は好きです。

 夜に到着した方が、なにかこう

 「部外者として途中から街に お邪魔 させていただく」

 という感じが強くして、その敷居の高さに 旅の醍醐味を感じるからです。

 夜到着してホテルに入ってすぐ近所のセブンイレブンに行って香港人にまじって買い物をしていると、きょうの昼、さっきまで新宿の紀伊國屋書店で立ち読みしていた自分が今は香港のコンビニで地元の人にまぎれてお菓子を買っているのかあ、という、そういう状況をすごく不思議に感じて、それも楽しいし。

 私は一度だけ、キャセイの夜便を使って、昼便よりも逆に長い時間香港に滞在する、ということをやりました。

 どういうことかというと、運賃の高い昼便と安い夜便の差額で浮いたお金を、ホテル代のプラス1泊分に充てたということです。

 ある香港行きで、私は、先にホテルを予約して確保しておいて、いざ飛行機の予約、という段になって、はたと思いました。

 そうか、夜便を使って1日前倒しして香港に行けば、安い夜便で浮いたお金でその夜ホテルに泊まれば、実質、12時間以上、長く香港に滞在できる!

 たまたま出発日を1日前倒しできる日程の余裕があったからできたのですが、私は、1泊だけ別のホテルを予約して、当初の計画より1日早く香港に行きました。

 これまでずっと昼便を使ってきた私は、こうして久しぶりに夜の香港の街に到着しました。

 で、気が付いた。

 香港には夜入る方が断然いい。

 ネオンの看板や夜景がキレイとかそういうのではなくて、暗くて怪しいから怖くてドキドキというのでももちろんなく (だいたい香港の街の夜は昼間並みに明るいし)、すぐにホテルの部屋で心おきなくビールが飲めるからというのでもない (だいたい旅行中は昼でも缶ビール空けることあるし)。

 そうじゃなくて、なんかこう、夜に到着すると、すでに進行中の宴たけなわのパーティに遅れて飛び入り参加するような、街のその日一日がすでに完全に出来上がってしまって熟した状態の、そんな世界に途中からいきなり部外者としてひとり放り込まれるような、そんな感覚が、私にはある。私にはそれがすごく快感です。

 滞在時間のことを抜きにすれば、香港には夜、到着するほうが、私は、ゼッタイ好きです。

 とか言いながら、また次回行くときは、やっぱり滞在時間を考えて、私は昼到着を選んでしまうのだろう(笑)。