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 きょう、いつものように香港情報探しの「巡回」で神保町の東方書店に行ったら、『香港・日本映画交流史―アジア映画ネットワークのルーツを探る』 という本が新しく出ていました。このような本を平積みで何冊もレジの前に陳列しているのが、中国関連書籍専門店の東方書店ならではです。
 発行は東京大学出版会。価格を見たらなんと6800円(税込7140円)でビックリしましたが、巻末を見たら戦前からの映画界の年表や人物小伝も載っているし、思い切って買ってしまいました。
 著者の邱 淑[女亭]氏は香港中文大学で教鞭をとっていて、この本も本文がヨコ組みでいかにもおカタイ感じです。しかし、他の文献を漁っただけで作ったという感じではなく、当時の関係者にもインタビューや取材を行ったようです。
 ペラペラめくると、香港の映画界の趨勢についての貴重な情報が多数埋もれていそうに見えます。写真はほとんど載っていませんが、若き日のチャイ・ランが写った現場のスナップ写真がありました。
 かつて日本と香港の映画界はかなり密接な交流がありました。石原裕次郎や吉永小百合時代の頃の、全盛期の日活の監督が香港で「香港映画」を撮ったりしていました。また、新東宝の名キャメラマン、西本正氏が香港に行って香港のカラー映画の基礎を作り、のちにブルース・リーの 『ドラゴンへの道』 を撮ったのは有名な話です。
 戦後の香港の映画会社スタジオの変遷に興味があるので、この本は資料として役立ちそうです。かなりボリュームがあるし、読んでて途中で挫折しそうなので、必要に応じてそのつど読んでいきます。
 「へぇ~、そうだったの!? 」というのに出くわしたら、引用箇所を明確にしてこのブログでも紹介したいと思います。
 でも、7140円は、高かった……。刷り部数は1000部くらいか?