きのうの記事に載せた1961年の皇后戯院のリニューアルオープンの広告。ふたたび。
queens.jpg
 私は、広東語も中国語もダメですので、中文も「推測読み」するだけですが、そんな私でも、この広告の文面はけっこうわかりました。古い広告ってやっぱりけっこう面白いです。辞書なし間違い覚悟でイッキに意訳してみます。
 今晩7時半営業開始
 
 建築に3年かかりました
 オール最新装置
 極東の映画芸術の殿堂

 香港の人って、香港自らを極東に位置していると認識しているんでしょうか。極東って日本や韓国や北朝鮮だと思ってましたが。それとも「遠東」って単にアジアの意味? 恥ずかしながらこういう基本を知りません。
 エレベーターで映画館に行けます!(エスカレーター?)
 最新型ヨーロッパ製の映写機!
 アメリカ製最新ソフトビニール座席!
(この一文、よくわかりません……)
 香港で「西」というのは、日本でいう「欧米」の意味でアメリカも含むのでしょうか。それともヨーロッパだけなのでしょうか(汗)。
 きょう午後6時からチケット売ります
 (で、その下に、きょう上映するこけら落としの映画の紹介)
 パラマウント社の、なんたらかんたらの、大喜劇映画
 多分、「派拉蒙」はパラマウントの当て字ですね。……そのあとの「香艶熱閑誥趣堂皇」がまったくわからん……(泣)。ここんところがこの広告で一番面白そうなのだが(苦笑)。
 ここで語学力のなさが露呈しましたが、めげずに次。
 「全部特藝七彩」。
 オール特芸カラー(ン、ン? スペシャルアートカラー??)
 「特藝」とは、イーストマンカラーとかテクニカラーとかみたいなカラーの商標名? …って、いま、書いてて、わかった! そうか、特藝はテクニカラーの「テクニ」の音訳の当て字だ。間違いない。これだから漢字の当て字は面白いです。
 「テクニカラー」は3色分割のカラー方式でたしか鮮やかな色合いが特徴。と、本で読んだような記憶あり。技術的な詳しいことは知りませんが、昔のギラギラしたハリウッド映画黄金時代のころのあの色だと勝手に思ってます。ちなみにイーストマンカラーは漢字で書くと「伊士曼彩色」。これはブルース・リーの 『ドラゴン危機一発』 の中文版ポスターに表記されています。
 ということで
 オール・テクニカラー
 
 ときて、
 「錦繍華堂」は映画のタイトルですね。でも、意味がわかりません。
 で、この記事ここまで書いてきて、中文題名の下の原題と思われる「THE LADIES MAN」をネットで調べました。すると出てきました。この映画、日本でもやったようです。
 「底抜けもててもてて」
 という、喜劇俳優ジェリー・ルイスが主演のアメリカ映画でした。
 http://www.walkerplus.com/movie/kinejun/index.cgi?ctl=each&id=5290
 ジェリー・ルイスの映画は、子どものころ、夏休みとかの昼間、テレビで古い映画をやる洋画劇場番組で何度か観ました。表情がオーバーで、ちょっと私には面白さがわかりませんでした。アメリカンローカルなドメスティックな喜劇に、日本人観客が付き合っていた、みたいな感じがします。いま、思えば。
 で、「錦繍華堂」の左にある文字、判読不能ですが、さらにその左、「謝利路易」は、映画の輸入会社かなにかと思っていたら、「ジェリー・ルイス」のあて字なのでした(笑)。
 ということで
 ジェリー・ルイス 主演
 …以上、終わり。
 私は香港の街の看板などにある、英語などの外来語の「漢字の当て字」を読むのがすごく好きなので、サイト「香港なんでもケンショウ堂」にも「当て字で遊ぼう」というコーナーを設けました。しかし、設けたはいいが、いまだにオープンしていません……。いずれアップしたいと思います。
 追記:検索してみたら、「特藝七彩」はやはり「テクニカラー」で当たってました。
     「ウィキペディア 『特藝七彩 (Technicolor) 』」
     ちなみに「ウィキペディア 『テクニカラー』」
     テクニカラーの「テクニ」を「特藝」という字で表すなんて、音と意味の両方で
     感覚的にうまく当て字にしてますよね。サイトの 「当て字で遊ぼう」 コーナーを
     早くオープンしたくなってきた(笑)。