おととい、昔の東宝東和の宣伝に関することにちょっと触れてみて、思い出したことを書きます。
 これは東宝東和だったかどうかも記憶にないし、香港映画のどんな作品だったか忘れましたが、1980年代の半ば、ある香港映画の日本での宣伝の文章で、こんな感じのがありました。
 「この映画は、地元香港では、ハリウッド映画 『○○○○』 を抜くヒットを飛ばしている」
 みたいなことが書いてありました。○○○○が何の映画だったかは忘れました。
 「香港で1位を獲得した」、というのではなくて、単に「ハリウッド映画を抜いた」という現地香港での興行成績をアピールして宣伝材料としています。
 でも、当時の香港では、香港人はアメリカ映画の大作よりも香港映画の、それも2週間で入れ替わるような普通の映画のほうを選んで観ることなんて、珍しいことではなかったと思います。だから当時は香港映画がハリウッド映画の興行成績を凌駕するなんて驚くことではなかったと考えられます。
 もしかしたら、当のその香港映画以外にも、同時期に上映している多数の香港映画が、そのハリウッド映画の「○○○○」を抜いていたということも十分あり得たのでした。
 思い出したので書きました。
 あー、でも、つくづく想う、あのころ。香港映画黄金時代。
 当たり前だけど、当時、「今が香港映画の黄金時代だ!」なんて、その時代の渦中にいるときは、思わなかった。黄金時代というのは、どんなことでもそうですが、過ぎ去ってから「あのときが黄金時代だった」と気づくものですもんね。景気とかといっしょ。韓国映画だって、いまがピークの黄金時代かもしれないし、この先もっと発展するかもしれないし、ちょっと好調らしい日本映画は実は今が第二の黄金時代かもしれない。この点で黄金時代というのは青春時代より、より不確かなものですね。