opium-war.jpg

 仕事の行き帰りの電車の中で読む本が枯渇したので、本棚に埋まった未読の本を探したら「実録アヘン戦争」(陣舜臣著/中公文庫 1985年刊)というのがあったので、満員電車に揉まれながら読みました。

 著者の陣舜臣は直木賞作家で小説「阿片戦争」も有名です。しかし私がこの人の本を読んだのは今回のこの「実録アヘン戦争」が初めてでした。

 読んでみての感想。硬い内容で個人的にはあまり面白くはなかったです。やっぱり小説の方が面白いかもしれません。しかし現在の香港が誕生するきっかけとなった阿片戦争のことを再度確認することができて良かったです。

 歴史に「もし」というのはタブーらしい。でも、もしイギリスが仕掛けた今も恥ずべきこの戦争が19世紀半ばに起きていなければ、いったいどうなっていたのだろうか、と、やっぱり、思ってしまいます。

 香港はどうなっていたのだろうか、今でも小さな漁村だったのだろうか、ネイザンロードはなかっただろうし、セントラルの摩天楼もなかっただろう、第二次世界大戦の日本占領もなかったかもしれない、ジャッキー・チェンは大スターとなっただろうか、いやジャッキー・チェンはこの世に誕生していたのだろうか、ゴールデン・ハーベストは? ジョン・ウーは? だとすれば合作の「レッドクリフ」は? いや香港映画そのものは? 私の趣味は香港でなくて韓国のソウルだったかもしれないし、台北だったかもしれないし、いや花の都パリだったもしれないし(それはあり得ん)、そうしたら香港が縁で結婚した妻はいま私の横にいないだろうし、そうならば、いまこの時間、休日の部活動で小学校のグラウンドでサッカーボールを蹴っている7歳の息子は?

 などと考えてしまいました。