長崎県の端島、通称「軍艦島」が35年ぶりに上陸を解禁、また世界遺産に登録申請しようという動きもあるということです。

gunkanjima.jpg ウィキペディア「長崎県 端島(軍艦島)」

 何年か前に日本で「廃墟ブーム」があったとき、大きな書店では廃墟コーナーが設けられ、廃墟となった病院やら学校やらの写真集などの関連の書籍が並んでいました。

 その廃墟コーナーには、この軍艦島の写真集と、その時点ではすでに消滅していた九龍城砦の写真集が並んで置かれたりしていました。

 今回の軍艦島のニュースをテレビで知ったとき、 私は、「軍艦島が世界遺産になるんだったら、もし、九龍城砦がまだ残っていて世界遺産の登録に申請したら、どうなっただろうなあ」と思ってしまいました。

 もちろん、ボロボロの違法建築が世界遺産になるなんてことは100%ないでしょうけど、でも、九龍城砦がまだあったとき、ここに行って中に入ってみて、私は、これは歴史が作った大きなオブジェだと思いました。

 九龍城砦、それはイギリス領香港のなかにあって、表現上の言葉ではなく正真正銘の「治外法権」でした。香港が植民地になったとき唯一ここは清朝の飛び地の領土でしたが、その清朝が消滅し、完全な空白地帯となりました。その治外法権の場所に時を経て民間の意志によって法律を超越して建造されたのが、その後の九龍城砦を構成するコンクリートのビル群です。

 本来、遺跡というのは建造された当時は日常の都市だったり日常の建造物だったりしたわけで別に将来崇高なる遺跡や遺産となることを狙ったわけではないですから、軍艦島はもちろん九龍城砦だって何百年も経てば遺跡にもなるし、そういう考えでいけば、まあ、強引ではありますが何年も先には九龍城砦だって世界遺産になり得たかもしれません。

 私なんか、香港の大映画館を世界遺産にしたいくらいです。これももうないけど。

 ウィキペディア「九龍城砦」

 参考:当ブログ最近の九龍城砦の記事(写真を見てみてください)
 http://kengshow.com/2009/04/post_254