香港電台の番組(前記事参照)から頼まれて送った映画館の写真は、この2点です。
ひとつがMTR佐敦駅から数分歩いたところにあった民樂戲院(Universal Theatre)。
もうひとつが太子駅近くにあった凱聲戲院(Empress Theatre)。
こちらが民樂戲院です。1986年3月の撮影。
彌敦道や佐敦道など、大きな通りにたくさんあった当時の映画館と違って、民樂戲院は裏通りにあった映画館です。
この写真を撮った20年後の2006年の、同じ3月、私は1986年に撮ったすべての映画館の場所にあらためて行ってみました。そして、1986年のときと同じ場所に立って撮影をしてみました。持っていたレンズの焦点距離が違うのでまったく同じアングルとはいかなかったですが。
民樂戲院のあった場所にも行ってみました。
するとそこには、何の変哲もない「下がお店&上がアパート」の香港の典型的なビルが建っていました。
なんか、建て替わったそのビル自体が、すでに古くてかなりくたびれた感じ。
地図をたよりにここに来たとき、私は築30年以上にも見えるこの古いビルを前にして、本当にここが20年前に民樂戲院のあった場所なのか疑問に思い、地図をなんども見返しました。
しかし、間違いない。
左どなりのビルが、同じようだし。
今、この記事を書きながら、また少し不安になったので、検索してみました。
そしたら民樂戲院と今のビルの写真を並べてアップしているのがありました。
http://www.flickr.com/photos/old-hk/3070406738/
……無断で私の撮った写真を使ってる。
それはともかく、これを見ても、やっぱり同じビルです。
frickrに載っている、このビルの写真。いつ撮ったのか知らないが、私の撮ったときよりも早い時期に撮ったのか、まだ多少は新しさを感じます。
それにしても、メンテナンスが悪いのか、香港のビルは、すぐに古くなってくたびれた感じになってしまいます。やっぱりメンテナンスが悪いからだと思います。
上のビルだって仮に1986年に建て替えられたとして2006年時点で築20年。実際はもっとあとになっての建て替えの可能性が高いし、そうだとすれば、築後20年未満で日本では考えられぬ このくたびれ加減。このビルは、ひたすら香港のボロボロビル街道をつっぱしっているのか。
たとえばおなじみ廟街にも、道の両サイドにボロボロビル群のオンパレードですが、築後何年なんでしょうか。意外と新しいのかもしれません。
で、こんな感じで、私は20年後の映画館の跡地をすべてめぐってみたのですが、ごく一部を除き、映画館の跡地には商業ビルが建っていました。
で、あらためて発見したのは、その映画館の両隣や周辺の、その映画館よりもずっと古いビルは取り壊されずに頑張って建ち続けているということでした。
古いスタイルの戸建て大映画館だけが、そのお役御免ということで、取り壊されていたのでした。
単に普通のビルだったら、オーナーが変わったりテナントが変わったりしても、使い道はあるから取り壊されずに済む。
しかし、これが戸建ての映画館ともなると、築後わずかでも話が違ってくるのでした。
こちらが、もうひとつの凱聲戲院です。前回の記事にも載せた写真。
1986年3月。
そしてこちらが20年後の2006年3月です。
あー。
近代的にはなったな。
味も素っ気もないとはこのことか。
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