policestory-cat.jpg 前の記事のつづきです。

 「香港国際警察」の日本公開版とオリジナル版の違い。

 見比べてみると、こんなに違います。

 【こんなにも違う!! 日本公開版とオリジナル版】

  <オープニング>

  日本公開版はジャッキー・チェンの歌が流れ、つづく物語最初の場面は警察署内の楽しいエピソードから始まります。

  ●日本公開版

  楽しいです。1980年代の香港映画。

  と、これがオリジナル版では、黒バックで音楽無し。神妙な雰囲気で始まって、冒頭の楽しいエピソードもごっそりカット。いきなりシビアなシーンから入ります。

  ●オリジナル版(ただし音声は英語吹替)

  このようにオリジナル版は、この映画を日本公開版で見た人間にとっては、あまりに唐突な始まりに感じてしまいます。

 <エンディング>

  同じく、エンディングも日本公開版のほうが断然イイです。

  ●日本公開版 

  上の動画が削除されてたので別の動画を探しました。
  (ころたさん、教えていただき感謝です)

  ●日本公開版

  これがオリジナル版になると、最後の余韻もないままスタッフロールが流れます。

  ●オリジナル版(ただし音声は英語吹替)

  吠えるジャッキーのストップシーンで終わる、主人公「怒りのまま」のエンディング。なんか、すごく消化不良ではあります。
 

 日本公開版は、香港映画らしく楽しく始まって、終わりも自然な流れを経てからスタッフロールに入ります。

 オリジナル版のこの唐突な終わり方。しかし、これはこれで1970~1980年代の香港映画らしい、典型的な「唐突なエンディング」の王道をいっている感じではあります。

 オリジナル版はオープニングもエンディングもシビアな雰囲気ですので、その意味では一貫性はありますが、映画としては、どう見ても日本公開版のほうが出来がいいと私は思います。

 私はオリジナル版をフジテレビのゴールデン洋画劇場で初めて見ました。初めて見たとき、その「はしょった編集」に驚きました。

 日本公開版の冒頭の警察署内のシーンは、日本向けに撮影されたというのではなく、もともと撮影されてはいたが、オリジナル版の編集のときに、ごっそりカットしたのだと思います。

 じゃあ、日本公開版ができたいきさつは?

 以下のふたつのどちらかではないでしょうか。

 <1>ジャッキー・チェンのプロダクション(ゴールデンウェイ)が、日本公開向けバージョンとして、冒頭のジャッキーの主題歌や楽しいシーンなどを入れたりしたものを用意していた。つまり「香港サイドで自主的に日本公開版を作っていた説」

 <2>ブルース・リー映画などですでに実績済みの、オリジナルの改変を得意とする、日本の配給元の東宝東和が、香港から送られてきたオリジナル版の暗いオープニングを見て「こりゃ一大事! 日本には合わない!」と判断。そして香港サイドに改変を要求。オリジナル版ではカットされていた冒頭の場面を復活させたり、ジャッキーの歌を入れた。という、「東宝東和からの要求説」

 このどっちかではないかと推測。というかこれしか考えられない。

 いずれにしても、この「日本公開版」が誕生したことは、この映画にとっては幸運だったと思います。

 オープニングにジャッキーの歌を入れたのは、当時日本ではアイドルだったジャッキー・チェンの魅力を前面に押し出すためだったのは間違いない。(松竹配給の「ファーストミッション」の日本公開版オープニングの日本語の歌もそう。これ

 例えばこれが日本以外のアメリカとかだったら、ジャッキー・チェンの主題歌のオープニングはちょーっとツライかもしれません。

 ウィキペディアによれば、この映画はオリジナル版のほか、いくつかバージョン違いがあるらしい。

 細かな編集バージョンの違いは置いとくとして、大きく分ければ映画「香港国際警察」は、黒バックタイトルの地元香港&海外市場向けバージョン、そして海外市場の中では特に稼ぎ頭だった日本には特別に日本公開バージョン、という、このふたつが作られた、ということなのか。

 バージョン違いについて(ウィキペディア)

 日本公開版のオープニングは、ウィキペディアで書かれているように「豪華な作り」なのかもしれません。

 でも、あらためてよく見てみれば、この日本公開版のオープニングの背景の映像は、ただ単に香港の街並みを、ただ普通に何の工夫もなく撮っただけです。

 例えば日本映画におけるオープニングで、このバックの風景の映像を、東京の街に置き換えて想像してみたら、いかにこのオープニングがチープというか即興的なものなのかということに気が付きます。

 というようなことを踏まえると、日本公開版は、たしかにウィキペディア言うところの「豪華バージョン」ではあるが、でも、実はそれほど「豪華」でもなく、逆に、オリジナル版に対してあくまで「おまけバージョン」のポジションだったのかもしれません。

 ……そんな感じではあります。

 が! やっぱり日本公開版がベスト。

 12月にいよいよ発売となる日本公開版のブルーレイに期待しています。

 でも、何回も言いますが、せっかく商品化するなら、日本公開版は「特典映像」のSD画質では
なくて、日本公開版こそを、HD画質にしてほしかったところです。

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