ブルース・リーが、クライマックスのアクションシーンを撮ったまま亡くなった、映画「死亡遊戯」。

 その貴重なアクションシーンのフィルムを公開するため、ブルース・リーの死後5年経って、映画全編の80%以上を占める残りのドラマ部分のシーンを、代役を使って完成させた、ある意味、超強引な作品が、この「死亡遊戯」です。

 1978年公開の「死亡遊戯」。(この映画の日本公開2か月後にあの「スター・ウォーズ」第1作目が公開、というのがこの1978年)

 バージョン違いの話をまたします。

 これが「死亡遊戯」の「香港地元版」です。


 広東語の主題曲を歌ったのは、香港の大御所歌手、羅文です。

 そして、こちらは「国際版」。(厳密にいえば、音楽のあとのブルース・リーの雄叫びの音声から考えてみると、このYouTubeの映像は、国際版からさらに枝分かれした、「独自の日本公開版」(配給会社東宝東和渾身の作)かもしれません)

 どっちもブルース・リーを前面に押し出したオープニングですが、でも、とても同じ映画とは思えません。

 香港版は地元の大物歌手の羅文を起用。

 一方国際版のオープニングには、アカデミー作曲賞受賞者でもある映画音楽の巨匠、007映画でおなじみの大作曲家ジョン・バリーを起用。(ジョン・バリーは生涯でアカデミー賞を5度受賞)

 
 1990年代の真ん中あたり、私は「死亡遊戯」香港版の主題曲が聞きたくて、香港に行くたびに中古レコード屋さんを巡りました。

 そして、ようやく、湾仔の中古レコード屋さんで、この主題曲を歌う、羅文の「LPレコード」に遭遇。もちろん買いました。日本に戻り、「プレーヤー」の針を落とし、慎重に聴きました。

 その後、日本で、この香港バージョンの音楽を収録したCDが、(おそらく版権無視の超グレーゾーンで)リリースされたので、飛びついて購入。

 あれだけ苦労して手に入れたLPレコードなのに、時をへて時代が変われば、何の苦労もなくCDが手に入ったりします。

 そして、11月には日本で発売されるブルーレイで、貴重な日本公開版のほか、香港公開版もフルで収録されたものが発売されます。