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 仕事を休み、カミさんと新宿のシネマスクエアとうきゅうに『ミラクル7号(長江7號)』を観に行きました。当日券でしたがきょう水曜日は女性は1000円なのでラッキーでした。先日、7歳の息子に観に行きたいかと聞いたらNOという返事だったので、じゃあ、息子が学校に行っている間に香港返還11周年記念の一環で夫婦で行くかということになりました。こじつけです。

 ストーリーについては公式サイトを。http://www.sonypictures.jp/movies/cj7/

 まあまあ面白かったのですが物語の結末にやや不満があります。でも、構成や細部の出来不出来ならともかく、映画を作った人が意図して「青く塗った」物語の結末に対して、私が「結末が赤に塗られていないじゃないか」と言ったってしょうがないです。こっちで勝手に期待してしまった別の結末を望んでも仕方がありません。

 チャウ・シンチーの映画を観ると、「ベタだなあ」と思うシーンが必ず出てきます。今回はマギーという巨漢の小学生の女の子のシーンです。マギーを演じるのは大人の男の人(レスラー)で、声は子どもの女の子の声で吹き替えています。こういうベタベタのシーンは慣れない人が観たらドン引きになってしまうかもしれません。

 ベタなナンセンスは香港の街を舞台にした低予算プログラムピクチャー時代のチャウ・シンチー作品から続く伝統ですが、海外の資本が入ってきて潤沢な予算を組んだ作品でもそれを出してくるのはある意味すごいと思います。

 『ミラクル7号』は主人公の男子小学生ディッキー(上の写真右)を女の子が演じて話題になりました。それに加えて、大人の男が演じる女子小学生マギーと戦う、暴龍というこれも大きな男子小学生を23歳の女性が演じています。さらに家に帰ってパンフレットを見たら、いじめっ子の同級生の男の子を実は女の子が演じていると書いてあったのでビックリしました。この映画では都合4人が男女を入れ替えて演じているのです。 

 私たちは朝一番の吹き替え版と次の回上映の字幕版(広東語音声)の2回鑑賞しました。私はやはり字幕版のほうがよかったです。チャウ・シンチーの作品は役者のオーバーな演技や表情も特徴だと思うのですが、吹き替えの場合、オーバーアクションに合わせた日本語吹き替えを聞くと、私の中では「オーバー」の許容範囲を超えてしまうのです。広東語版だと、外国語としてそれを聴く私にとってはオーバーアクションが中和され、むしろそのオーバーアクションが笑いの大切な要素となります。

 しかしこの『ミラクル7号』は、気軽に観てもらいたいという意図からなのか、あるいは子どもをターゲットにしているからなのか、東京の場合、上映される18館のうち、字幕版を上映しているのはわずか3館のみ。しかも字幕版単独でやっているのはたった1館。シネマスクエアとうきゅうでは1日に上映される5回のうち字幕版は朝イチの1回のみです。残る1館も1日に2回のみが字幕版です。ということでこの映画は基本的に「日本語吹き替えでご覧ください」ということです。

 ちなみに雑誌にはたしかこの作品が「チャウ・シンチーでは初の北京語で撮られた映画」と書いてあったので、そうならこの広東語版も「吹き替え版」ということになります。

 この映画、だいぶ前にいろんな方のブログで企画段階で紹介されていた当初は、もっと壮大でそのタイトルから想像されるようにロケットを絡めた宇宙を舞台にした作品だった記憶があるのですが、きのう雑誌を見たら、脚本が思いきり変更されたと書いてありました。その変更は予算の削減を理由にはしていないのかもしれませんが、結果として、出来上がりは良くも悪くも小さな作品となりました。

 ちなみに、もう慣れっこになりましたが、この映画の物語の舞台もロケも香港ではなく、中国本土です。エンディングのクレジットから察するに寧波市のようです。舞台が香港の街だったら、私の評価はもうちょっと、いやかなりアップしたかもしれません。