tabemonoya02.jpg きのうの記事から独立させて別記事にすることにします。

 先日紹介しました「香港の都市再開発と保全」(何度見ても味もそっけもないタイトルだなあ)、ここに私にとって新しい発見が。

 この本によると昨年、香港政府は、これまで新規の発行を停止していた屋台の許可証について、何か新しい動きを見せるようなコメントをしたとか。

 引用すると

 「2008年6月、香港政府は1970年代以来停止していた露店商営業ライセンスの新規発行と譲渡に関し、大きく従来の方向性を見直し始めた。政府は 『露店業は保存に値するローカル文化資源とみなされていることもある』 ため、『露店業の凍結や根絶を厳正におこなうべきではない』 との見解を立法会で表明した。そして同時に、露店のライセンス新規発行と譲渡に関する具体的な検討を始めた。」(P.136より。赤地は学芸員K)

 そうなりゃ風前の灯火の「香港屋台」復活か!と私は思いました。 いかにも政府見解らしい曖昧な表現ばかりで具体的にはまだ何も進んでいませんが。

 でも、もし仮に許可証が新規に発行されても —— この本にも書かれているのですが —— 労働環境が厳しい露店業は、希望する人は少ないかもしれず、なり手がいなければ復活は難しいと思います。

 私は、自分が、屋台のことをある意味観光アトラクションのひとつと勝手に思ってしまっていることに、今さらながら少しだけ、気づきました。

 でも、やっぱり、本音は、そりゃあ、復活して通りを賑わして観光客にとって楽しい街にしてほしい、のです。

 tabemonoya01.jpg【追記】
 ここまで記事を書いていて気がついたのですが、上の本で著者が「露店商」と書き、政府見解で言うところの「露店業」というのは、食べ物屋台(大牌トンなど)のことなのか、それとも、廟街や女人街にあるような食べ物以外の物販の露店のことなのか? (そもそも廟街や街市周辺の露店は許可証が必要なのか?) 私はてっきり希望的観測で、「食べ物屋台」だと勝手に決め込んでいました。

 この本の上の一文は、「屋外市場という香港文化」という章のなかにあるものです。舞台はセントラルにある生鮮食品の露店が並ぶエリアです。「昼時で賑わう市場」というキャプションのが付いた写真があり、そこには大牌トンらしき青空食堂が写っています。

 この本で著者のいう「露店」とは生鮮食品売りの露店とともに大牌トンの食べ物屋台も含まれているように思われます。

 
「食べ物屋台」の中でも、小販、私が好きだった香港にたくさんあった移動式食べ物屋台の小販は、そもそもがほとんど無許可営業だったと思うので今さら許可証もへったくれもないので関係はなさそうです。

 あたりの小販が警察に追いかけられていっせいに逃げているのを実際見たことがあるし、私が小販で油で揚がった食べ物を差し出され代金を払おうと財布の中の小銭を選んでいるときに
「早く!お金出して早く早く早く!」と警察が迫り焦るおばちゃんから叫ばれたことがあります。

 そもそも小販は許可するとかしないとかなんてものとは別次元のものだったのかもしれません。

 一方、物販については、街市周辺の生鮮食品の露店の事情は知りませんが、廟街の物販の露店で、取り締まりから逃げるようにしていたのはロレックスのニセモノ売り以外では見た記憶がないです。こっちは最初から無許可でOKなのか、それとも許可証が行きわたっているのか。

 書いてて混乱してきました。大牌トン、小販、生鮮食品の露店、廟街などの露店……何かご存じの方、教えてください。

 <写真は油麻地の大牌トン(上)と、小販の絶滅の代わりに街に増えた固定店舗で揚げ物を売る旺角のお店(下)。>