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香港で、スリに、出遭いました。

と言っても、香港返還前の遠い過去の話です。

上の写真は、そのときにクレジットカード会社に提出した「カード紛失届」のコピーです。

例によって押し入れの中の香港関連の書類(家族にとっては燃えるゴミ)を整理していたら出てきました。

(ちなみにアップした上の写真、緑色の丸いシールを偏執狂的に貼りまくっているようにも見えて我ながら不気味ですが、これは単に画像処理ソフトで隠す場所をクリックして処理しただけです……)

スリに遭った、ことのてん末は、この届けに書いた「事故状況」をそっくり写すと、こうです。

、午前11:00~12:00に香港・九龍の地下鉄旺角駅から香港島 中環駅間の地下鉄車両内、あるいは駅の構内(改札口、ホーム、エスカレーター)のいずれかでスリに会った。中環駅構内の定期券売り場にて気が付いた。デイパックを見ると、サイフを入れてあったポケットが開いており、サイフがなかった。××××、××××(カード名)、香港の銀行のキャッシュカード、現金約1100HKドルを盗られた」
(原文ママ。「スリに会った」は正しくは「スリに遭った」です)

ということです。

どうしてスリの標的になってしまったのか。

振り返れば、その理由は単純なことで、自分にもよくわかっています。

このときの香港旅行は、彼女(のちのカミさん)といっしょでした。私は、地下鉄車内で、かつてのひとり旅のときにしていたようにデイパックを片腕で背中側に引っかけていたのですが、そのスタイルで、私はうかつにも彼女と日本語でしゃべっていたのです。

「背中にデイパック」と「日本語で会話」。このどっちか片方だけだったら、スリに遭わずに済んだのかもしれません。

両方やってしまったから、カモとして標的にされたんだと思います。日本語の会話で日本人だとバレ、そして無防備なことに背中にはポケットがふくらんだデイパック。

私の推測では、おそらく、スリは電車内にいて、私を標的と定め、電車を降りてからつけてきて、私がエスカレーターに載っているときに、後ろからやったのだと思います。エスカレーターのとき以外は常に歩いたり動いたりしていましたから、多分この推測は間違っていないと思います。

デイパックを見てポケットが開いていたときは、真っ青になりました。いや、ホントに「あわわ」と足が震えてしまいました。

サイフをすられたことを知った私たちは、すぐにホテルに戻り、部屋から日本のカード会社に電話をして、クレジットカードを止めました。そして恒生銀行に行きキャッシュカードを止めてもらいました。

盗られたのは、これらカード類と現金1100HKドルでした。

 

ところが、話はそれだけでは終わりませんでした。

旅行から帰ってしばらく経ったころ、カード会社から電話がありました。もう昔の話ですが、このときのやりとりは覚えています。

 

カード会社 「Kさまでいらっしゃいますか。お電話いたしましたのは、
カードの利用状況についての確認です。
例月とはかなり利用のされ方が違うようですので、
恐縮ですが、少し確認させていただけますでしょうか?」

私 「はい」

カード会社 「香港で、次に挙げるお買い物をされましたか?
次のようなご利用履歴があります。

×月×日のご利用で、
××××ジュエリー ×万××××香港ドル
××××ジュエリー ×万××××香港ドル
××××ジュエリー ×万××××香港ドル
××××ジュエリー ×万××××香港ドル
××××ジュエリー ×万××××香港ドル
(注:全部違うお店)

合計××××××香港ドルとなっておりますが、
お心当たりございますか?」

私 「ええっ! 私はその日、サイフごとカードを盗られて、
すぐに貴社に電話してカードは停止してもらったはずです!」

カード会社 「そうですか。Kさまのご利用ではないということですね」

私 「そうです。サインを見てもらえれば分かるんじゃないでしょうか」

カード会社 「では、このあとのことは弊社が手続きいたしますので、
お手数ですがカードの紛失届のご提出をお願いいたします」

私 「あの、この金額のお金をこちらで払うことになるのでしょうか」

カード会社 「調査してK様のご利用でないことがわかれば、
保険にて補償することになります」

私 「今回は申し訳ありませんでした。何卒よろしくお願いいたします」

 

と、いうことで届けたのが、上の写真の「カード紛失届」なのです。

ちなみに、この届けには「警察への届出」という欄があります。

紛失届の手続きには、警察に正式に届けを出すことが必要なのだという。

私は、香港の警察へは被害届を出していませんでした。被害届を出したところで実害の現金1100香港ドルはどうせ戻ってこないと思ったし。

それをカード会社に伝えると、「日本の警察でいいので届けを出してください」という。

香港で遭ったスリの被害届を日本の警察に届けて何の意味があるのだろうか??? と、思いましたが、ここは従う以外にありません。

最寄りの警察署に行き、被害届を出しました。

 

それにしても、私がカードを盗られてからカード会社に電話でクレジットカードの停止をたのむまで、おそらく30分はたっていないと思います。

その30分足らずの間に、カードを盗った犯人は、駅を出て→「複数の宝石店」に行き→それぞれの店で宝石を選び→盗んだ日本人名義のカードを使ってニセのサインで日本円で100万円を軽く超える金額の宝石類をタテ続けに購入した、ということになります。

いったいそんなことが可能なのか? と、一瞬思いました。が、すぐに思い至りました。

推測ですが、おそらく、スリとそれらの宝石店は、全部グルなんだということです。

けっきょく、カードは第三者による不正使用と判断され、私はお金を負担せずに済みました。

皆さま、何回香港に行って慣れたとしてもけっして油断しないように。じゃないと私みたいな目に遭います。

今回の記事は少々露悪的でした……。