ひとつ前の記事で書いた「E都市」を見てある本を思い出しました。街を見下ろす、というただ単にそれだけのつながりですが、ふとこれを思い出したのです。
「small planet」
という写真家本城直季氏の写真集(上写真)。
すべて本物の実景なのに、箱庭のようなミニチュアに見えてしまうという写真です。
箱庭とかジオラマや、リンゴとか昆虫とか小さなものにカメラを近づけて接写で撮ると、被写界深度が浅くなって、ピントの合う範囲が狭くなり、ピントを合わせたポイントの手前と奧がボヤけます。(極端な例でいくとこういう写真がそうです。)
逆に、こういう小さな物ではなく、普通の遠景を(絞りを絞って)普通に撮ると被写界深度が深くなります。
で、ここからは私はよく知らないのですが、普通の景色をわざとアオリという技法で被写界深度を浅くして撮ることができるみたいです。
で、ピントを浅くすると、本物の風景があたかもミニチュアのように撮れてしまう、という寸法です。
その写真が、コレだ! ワン・ツー・スリー!(ザ・ベストハウス123)
この写真集で本城直季氏は、木村伊兵衛写真賞を取りました。また、一時期かなり人気が出て広告などでも彼の撮影による写真が使われました。TVのCMにも、彼の手によるものか不明ですがミニチュア化した映像がでてきたのを覚えています。
この写真集はもう何年も前に出たものです。出た当初、ポスターを見て「すごいな」と思って書店で平積みになっていたので手に取ってページをめくっていったら、香港の写真が載っていました。
そのうちの1枚が、 コレだ! ワン・ツー・スリー!
銅鑼湾のリーガル香港ホテルのところ。トラムが幅5ミリくらいの模型に見えます。実際の写真集はもっとミニチュアに見えます。
私はこの写真集を買おうかどうか迷いました。でも結局香港の写真は2、3点だけだったので買うのはやめました。
で、これら写真は、上に書いたアオリという技法で撮っているらしいですが、私はこれをパソコンの画像編集ソフトでできないかなと思いました。
そこでこれまでに私が撮った写真から、遠景でしかも上から俯瞰で撮った写真がないか探しました。俯瞰で見下ろした写真が一番「ミニチュア化」には適していると思ったので。
ところが、これがまったくありませんでした。
そこで、ちょっと後ろめたいですが、ネット上にある写真で、香港の街を上から見たものはないかGoogle香港に行って探しました。ところが、ネットにもなかなかありませんでした。ビクトリアピークから街を撮ったものはたくさんありました。でも、斜めから見下ろした風景だと中途半端に思えました。
そんななか、一枚だけ、今はなきあの九龍城砦を上空から撮った写真がありました。(クリックすると拡大します)。
ということで、この写真を手持ちの画像編集ソフトPhotoshop Elementsを使って色とピントをいじってみました。
その結果が、コレだ! ワン・ツー・スリー!
どうですか。少しはミニチュアっぽく見えますか。やっぱりできあがってる写真に加工するのは限界があるのかもしれないですが。
なんか、私とおんなじことを考えている人がたくさんいて、「small planet」とか「本城直季」で画像検索すると、この写真集や本城氏以外にも皆さんが自分で撮った風景をソフトで加工してミニチュア化している写真がたくさんヒットしました。
そして、Googleに「ミニチュア」と入れると「ミニチュア写真」というワードが勝手にメニューに出てきて、それで検索すると、すごい数の自作のミニチュア写真が出るわ出るわ!(コレ)
こちらではPhotoshopを使った具体的な作りかたが解説されています。(コチラ)
こんなに流行っていたとは知りませんでした。
そしてなんと、自動で画像を加工して風景をミニチュア化してくれるサイトを発見。
そのサイトが、コレだ! ワン・ツー・スリー!
「TILT SHIFT MKER」
http://tiltshiftmaker.com/
……こんなものがあるのを最初に知ってたら、自分で加工しなくても済んだのに。
お手元に俯瞰で撮った香港の写真があったら、このサイトでミニチュアの香港を作ってみては?
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